2006年12月31日

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『三洋電機 井植敏の告白』3

大西 康之著 2006年11月6日発行 1700円(税抜き)

三洋電機 井植敏の告白

三洋電機の創業者である井植歳男氏の長男であり、社長、会長、代表取締役として20年間トップに君臨した井植敏氏のインタビューに基づく、三洋電機についての本です。

三洋電機の業績不振については、ここ数年マスコミでも繰り返し報道されてきました。比較的最近では、ジャーナリストの野中ともよさんがCEOになって話題になりましたね。

三洋電機といえば、電機大手最後の同族企業といわれていました。本書の内容も同族企業としての三洋電機に焦点を当てており、凋落の原因も同族企業であったことを軸に論が展開されています。松下、西武などの事例からもわかるように、最近の日本社会では、戦後の日本を高度経済成長させたシステムが崩壊し、時代の大きな変わり目となっています。

戦後日本の経済成長については、同族企業によるところも大きかったと思われます。同族企業については、好印象を持たれないことも多いですが、組織としての求心力の強さなど、時代が一定方向に向かって成長を続けているときはメリットも大きいと思われます。

しかしながら、現在の日本のように成長性が低下し、時代に応じた臨機応変な対応が必要な時には時代にそぐわない存在になっているようです。本書にもありましたが、同族企業が力を持って継続するためには、同族内による経営はあきらめて所有に専念する必要があるようです。社員が数千人、数万人もいれば、経営者として有能な存在は明らかに社員から選ぶ方が有利です。たしかに、うまくいっていないところは同族者が経営に関わることにこだわっているところのような気がします。

とくに戦後の日本においては、間接金融が主体の自己資本比率が低いバランスシートの企業が多かったため、いったん経営が傾くと、増資などにより創業者の持ち株比率は急速に低下します。そのことを考えると、潜在的に日本ではかなり前から同族企業の継続は難しかったようです。

本書では、失敗の原因についていろいと詳しく述べられており、それはそれで興味深いのですが、構造的に考えると、現在の同族企業の凋落は遅かれ早かれ予想されたことであったのかもしれません。

もちろん同族内の後継者がたまたま優秀であり、時代の流れに適応して事業が好調なキャノンのような会社はあることにはありますが、例外でしょう。



investmentbooks at 22:47│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--経営者 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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