2007年01月23日

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『バビロンの大富豪―「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか』4

ジョージ・S. クレイソン著 大島 豊訳 2000年3月1日発行 1500円(税抜き)

バビロンの大富豪―「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか

日本での出版は2000年ですが、もともとはアメリカで1926年に出版され、以来売れ続けている本です。古代に繁栄した国であるバビロンを舞台として、さまざまな登場人物により、富を築く方法が語られます。

本書では、重複する部分もあるのですが、登場人物を変えてさまざまな富を築くための法則が語られます。そのうちの一つである、「五つの黄金法則」については以下の通りです。

  1. 収入の一定割合を必ず貯蓄する
  2. 貯蓄を投資する
  3. 投資の専門家のアドバイスを受ける
  4. 自分が知らないことには投資しない
  5. うますぎる話には注意する

その他、本当の財産は「お金を持っていることではなく、お金の流れである」など、最近の資産運用の本にもよく登場する内容ですね。

「まず持ち家を持つ」など、現在とは若干異なる考え方もあります。持ち家を所有すると、家賃として流出するキャッシュを減らすことができるということなどが理由のようです。最近ではほとんどの場合において、住宅ローンを借りて金利の分も加えて返済することになっている場合が多いため、現代の日本では、この考えについてはあまり当てはまらないかもしれません。

本書の内容自体は、きわめて正統的で話もよくできているのですが、気になったのは出版時期です。アメリカでは1926年に出版され、日本では2000年の3月に出版されています。出版時期を見てなにか思い当たりませんか?

ピンとこられた方もいるかもしれませんが、アメリカでは大恐慌の前の株価の急上昇期、日本ではITバブルのピークの時期です。日本で出版が企画された時期は、おそらくITバブルの急上昇期であったと思われます。

このようなわかりやすい資産運用の本が企画されたり、売れたりするときはバブルの時期が多いのではないかと思います。

株が上がる→資産運用に興味を持つ人が増える→資産運用の本を読む→本を読んで投資をする→株価上昇→ますます資産運用に興味を持つ人が増える→・・・・・・・

となって、最後には行き着くところまで行き着いてバブルがはじけてしまいます。

本書自体はよく書かれており、良書であると思います。我々が注意しないといけないのは、本書のような本が出版されたり、ベストセラーになるような時期は、株価のピークに近づいているという認識を持つことではないでしょうか?



investmentbooks at 23:03│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--マネー哲学 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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