2007年01月29日
『レアメタル・パニック』
中村 繁夫著 2007年1月30日発行 952円(税抜き)
著者は、商社である蝶理で長年レアメタル関係の仕事に携わった後、MBOにて希少金属専門商社AMJ(アドバンスト・マテリアル・ジャパン)を設立された方です。
レアメタルについては、近年電子デバイスなどへの利用などにより需給が逼迫してきており、世界的な争奪戦が始まっているようです。最近は一服していますが、昨年世界的な原油高がトピックスになったように、商品相場は全体的に高騰してきています。レアメタルについても、同じ流れのようです。
本書は、著者が取引や鉱山開発のため、長年世界中を飛び回られた体験が書かれており、最前線にいた方のみが書ける内容です。読み物としてもよくできており、最後まで飽きさせません。
レアメタルは、日本ではほとんど産出されないようです。中国が世界的に見ても保有大国で、日本の供給は多くが中国に拠っているようです。しかしながら、近年は中国も自国内で需要が高くなっており、輸出を絞りつつあるようで、そのことも、レアメタル高騰の一因となっているようです。
人体にも微量元素があります。必要量は微量なのですが、不足すると人体を維持していく上でいろいろと問題が起こってきます。国についても同じですね。
石油や農産物はわかりやすいのですが、今後の日本の将来を考えていく上で、レアメタルは民間企業のみならず、国が戦略的に外交問題としても関わる必要がありそうです。
投資の観点からは、レアメタルをリサイクルする企業などに関心を持ちたくなりますね。