2007年02月13日
『誰がウソをついているのか』
森永 卓郎著 2006年10月10日発行 1500円(税抜き)
著者は『新版 年収300万円時代を生き抜く経済学』で有名なモリタクさんです。TVでもすっかり有名です。ブログもあります。
著者の前々からの主張ですが、年収300万円は高嶺の花になるそうです。たしかに最近は、正社員でないと、かなりがんばっても、最近は200万円いくかいかないかです。
「日本は財政破綻しない」、「不良債権問題は存在しなかった」、「郵政民営化は必要なかった」、「敵対的M&Aは日本を滅ぼす」などの話が続きます。
財政破綻しないという主張の根拠は、以前紹介した増田俊男さんの本にもあったように、借金は800兆円あるが金融資産も500兆円あるということが根拠になっています。たしかに、日本の長期金利が上昇しないということは、現在はマーケットもそのように判断しているのでしょう。
不良債権問題は存在しなかったという主張については、金融庁がUFJの要管理債権の引当率を引き上げさせて強引に不良債権を作ったということです。理由は、アメリカのハゲタカファンドに安値で買い取らせるためとのことです。
郵政民営化についても、本当は必要なかったが将来的に外資に買い取らせるためとしています。また、M&Aについても、株主優先のアメリカ型資本主義を加速させると批判的です。
昔の著作からですが、やはり著者は弱者の味方であると思います。著者の趣味がミニカーのコレクターであることなども関係あるのかもしれません。
いろいろと考え方はありますが、郵政民営化自体は国民の選挙を経て自民党大圧勝の結果決定しているため、国民が選択してしまったともいえます。
この本は、著者の主張される問題が後戻りのできない時期になってから出版されていますが、本来ならば、もう少し早く出版される方が良かったのではないでしょうか。