2007年03月10日
『国税調査官は見た「なぜ あの社長の会社は儲かるのか」』
大村 大次郎著 2007年3月5日発行 1143円(税抜き)
著者は10年間国税局に勤務され、法人税担当調査官をされていました。退職後、税務調査、節税などについての本を、もと調査官としての体験をまじえて、数多く書かれています。ライブドアショックについても、独自の視点から分析された本(『ライブドアショック・謎と陰謀―元国税調査官が暴く国策捜査の内幕』)も書かれており、面白く読めました。
本書は、国税局の調査官として税務調査を行って数多くの会社や社長を見てきた経験に基づき、どのような会社や社長が伸びるかということについて書かれています。
伸びている会社の社長は
- 税金を含め、数字に強い
- 妻が控えめである
- 真面目すぎてはダメ
- 学歴は必要ない
などであるようです。社長は奇人のような人が多いとのことですが、ただひとつ奇人と異なるのは「合理的な精神を持っている」ということであるようです。「合理的な精神」とは、問題点を認識し、修正し、確実に進歩することであるとのことです。
また、伸びている会社については
- 雰囲気がよくなる仕組みを持っている
- すぐに対応する
などとのことです。
その他、伸びる会社の内部事情、危ない会社と安全な会社、企業の条件などについて書かれています。文章も読みやすく、著者の得意分野である節税についても簡単に書かれていますが、節税の具体的なところについてはあまり詳しくないため、著者の本であれば、別の著作を参考にした方がよいと思います。
やはり、会社の経営については、税金を含め、お金の流れの把握は重要なようです。とくに中小企業については(日本のほとんどの会社がそうですが)、社長自らがお金の流れを把握することが、企業経営には欠かせないようです。
節税ができないということは、お金のコントロールがうまくできないということなので、自然にお金もよりうまくコントロールしてくれるところにに移動してしまうのでしょう。お金を集めたいのであれば、お金をうまくコントロールする知恵が必要なようです。