2007年03月31日
『夢をかなえる洗脳力』
苫米地 英人著 2007年4月10日発行 1500円(税抜き)
脳機能学者として著名な苫米地氏の最新作です。洗脳についての著者の著書は、本を出されるごとに内容がわかりやすくなっています。
本書のキーワードは「抽象度」です。悩みを解決する、願望を実現するためには「抽象度を上げる」必要があると主張されています。
「抽象度を上げる」というと難しく聞こえますが、やさしく言うと、より高い視点から状況を眺める、外部から自分を眺めるということです。問題が解決するときは、問題をより高い視点から見ることができるようになり、問題が問題として認識されなくなるときです。問題の存在はより高い視点を獲得するチャンスということになります。
視点がどんどん高くなるとどうなるでしょうか?本書にあるように、答は仏教哲学的な概念にあります。著者はなるべく脳科学を用いて科学的に書こうとされていますが、究極的なところを科学的に表現するのはやはり不可能なようです。どうも著者が僧侶や仏教哲学者にタブって見えます。
一般的な成功法則のまちがいについても書かれています。例えば、
- 成功とは競争に勝つことである
- 「夢」や「目標」を紙に書く
- 大きな目標を達成するために小さい目標を一つずつクリアする
などといったことです。
願望実現については、抽象空間、臨場感、共感覚などの概念を用いて方法が述べられています。中途半端な解説は危険なので、興味のある方は直接本書を読まれるとよいかもしれません。著者も書かれていますが、本書に書かれている方法はパワフルなだけに強い倫理観を必要とします。本書の中でも、多少使われているように思いました。