2007年05月04日

この記事をクリップ! Yahoo!ブックマークに登録 このエントリーを含むはてなブックマーク

『サルになれなかった僕たち』4

ジョン・ロルフ/ピーター・トゥルーブ著  三川 元好

2007年5月20日発行 850円(税抜き)

サルになれなかった僕たち―なぜ外資系金融機関は高給取りなのか

原書は、2000年に出版されており、日本語版は2001年に『ウォールストリート投資銀行残酷日記―サルになれなかった僕たち』として出版されています。今回文庫として出版されました。

著者の二人は、アメリカの一流ビジネススクールを卒業後、大手投資銀行であるDLJ(日本では楽天がDLJディレクトSFG証券を買収して楽天証券としています)に就職しましたが、過酷な労働に耐えきれなくなったこともあり、1年くらいで退職しています。本書はその時の体験が描かれており、ある程度、投資銀行の内部事情がわかる内容になっています。

本書に不足している点は、著者たちが短期間で投資銀行をやめており、把握している内部事情に限界があることですが、すでに業界にいないため、遠慮なく内部のことを書けるという利点もあります。

本書の内容は10年くらい前のアメリカ投資銀行の実状が書かれていることになりますが、おそらく、いまでも変わっていないことでしょう。これからは、日本でも企業の売買が活発になると思われ、日本における本書の価値は2001年に出版されたときよりも、高まっているように思われます。

本書にはいろいろな読み方があると思いますが、株式などにより企業に投資する立場からは、どのような原理で投資銀行業界が動いているかということがわかります。著者たちがつらい目にあったためか、かなり辛口の書き方です。

サブタイトルにある「高給取り」についてですが、ビジネススクール卒業後1年目で、年棒およそ20万ドル(現在のレートだと2400万円くらい)ということです。ほとんど休日や睡眠時間がなく奴隷のように働かされていますが、たしかに高給取りですね。ちなみに医療業界では、一般の研修医も同じくらいきつい場合があるのですが、年収は十分の一くらいのことがありました。いまは少しは改善されているようです。書類作成に多くの時間を取られることや、奴隷以下の生活であることなど、多くの共通点があります。

別の読み方としては、投資銀行に就職を希望している方の参考になるかもしれません。本書を読むと、ある程度の覚悟ができるかもしれません。最近は優秀な若い人たちが、外資系投資銀行への就職を希望するようになっているようです。



investmentbooks at 23:56│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--ファイナンス理論 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
プロフィール
bestbook
家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
このブログについて
2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
ブックマークに登録
このブログをソーシャルブックマークに登録
このブログのはてなブックマーク数
アマゾン検索
月別アーカイブ
QRコード
QRコード
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ