2007年05月25日
『経営の王道』
飯田 亮著 2007年5月1日発行 580円(税込)
セコムの創業者である飯田亮氏が2003年に書かれた『経営の実際―8つの重要なポイント』が、中経文庫として再出版されたものです。長年にわたるご自身の企業と会社経営の経験をもとに、主として経営に対する基本的な心構えについてやさしく書かれています。
章ごとのタイトルがそのまま内容のエッセンスを表しています。
- 経営とは、創業の基本理念を貫き通すことである
- 経営とは、お客様の立場でシステムづくりを進めることである
- 経営とは、世の中が何を求めているか、その本質を捉えることである
- 経営とは、チャレンジとスピードである
- 経営とは、常に革新する組織カルチャーをつくることである
- 経営とは、目的を実現するプロフェッショナル集団づくりである
- 経営とは、結果責任を具体的に伴うものである
- 経営とは、「社会の深い信頼」を得るブランドを築くことである
本書全体から感じられるのは、「流れる水は濁らない」という印象でしょうか。常に内省を通じて自己変革するという精神が徹底しています。
変わったところでは、「企業と社会の関係も男女の恋愛感情と同じである」という主張です。著者によると、「外から見て、色気というか艶っぽさのない企業は好ましい存在ではない」ということです。頼もしさ、優しさ、躍動性、魅力などの恋愛感情に似た思いで見られる企業のみが、持続・発展が可能ということです。
確かに、利益のみを求めて余裕がないと、ギラギラしている異性も見るようで、何となく安心できない思いを抱いてしまいます。本業をしっかりやっているからこそ出てきた主張であると思います。
経営論のみならず、人生論としても面白く読める本です。