2007年06月15日
『売れないのは誰のせい?』
山本 直人著 2007年6月20日 714円(税込み)
売れないのは誰のせい?―最新マーケティング入門
新潮新書の最新刊です。著者は、博報堂で長年マーケティングの仕事をされていた方です。本書には現場で得られた知恵がふんだんに込められています。
著者は、マーケティングを「客の立場に立って知恵を使い続けること」と定義されています。自分の立場ではなく相手の立場です。また、「知恵を使い続ける」のところでは、「続ける」という部分が大切であると思います。なぜならば、常に客は変化し続けるからです。
著者によると、今までは日本では本格的な競争はなかったそうです。これからようやくマーケティングの考え方が、本当の意味で必要とされそうです。買い物という行為についても、今までは必要なものを得るためでしたが、これからは、買い物に人生観を投影するとようになるそうです。そのような点からも、ブランドの重要性について述べられています。
日本社会については、70年代の後半から80年頃に男女の役割や家庭の変化がはじまり、それが現在の消費活動に大きな影響を与えているということです。現代は、消費のターゲットが絞りにくくなっているため、広告の反応によって逆に消費者を捉える必要があるとしています。
テレビ広告やタレントを用いることについても、ご自身の経験をもとに適応などが書かれています。
最後に、「他者を知る」ということの重要性について繰り返されています。他者を知るということはいままでも大切でしたが、確かにこれからはさらに重要性が増しそうです。
全体的には、著者が大手広告代理店で仕事をされていたということもあり、大企業向けの内容になっていますが(中小企業はテレビ広告やタレントを使ったりはしないと思うので)、マーケティングの本質的な考え方が押さえられており、商売をする方であれば誰でも役に立つ内容になっていると思います。