2007年07月03日

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『ビジネス法則の落とし穴』5

東谷 暁著  2007年7月11日  798円(税込)

ビジネス法則の落とし穴

創刊されて間もない学研新書の最新刊です。著者は経済ジャーナリストで、『エコノミストは信用できるか』、『民営化という虚妄』などの、一般的に正しいと思われているものをあえて逆の視点から捉える一歩突っ込んだ本をよく書かれています。

本書も、パレートの法則(80対20の法則)、ランチェスター法則、最近のものではロングテールの法則など、よく知られる50の法則について、あえて他の視点から眺めて、それらが必ずしも常に正しいわけではないということを述べています。

50も法則があると、その法則について知るだけの目的で読むとしても、本書は役に立つと思います。それぞれの法則について、「過去実績度」「応用可能度」「成功予測度」をそれぞれ五段階で評価しています。

法則については、物理的なものですら時を経ると成り立たなくなることがあります。ビジネス法則については、その法則が知れ渡ると、その法則を使って利益を得ようとする人が多くなってるため、他の人との違いによって儲けを得られず、法則自体の意味がなくなることがよくあります。

ビジネスの本質について理解している人は、どんな法則が出てきたとしても、その法則を盲信してしまうことはないと思います。しかしながら、人は新たなことを理解して変化するのはしんどい面もあるので、ついつい楽な方を意識せず頼ってしまいがちです。

正規分布の法則や、返報性の法則などは、それぞれ数学的原理、人間心理に拠っているので、法則自体にはそれなりの普遍性があるとは思いますが、ビジネス上の効果は多くの人が使えば使うほど効果が少なくなってきます。

返報性の法則について述べると、タダでものをもらったらそれなりにありがたいとは感じるという点では普遍性がありますが、最近は以前ほど購入につながることがなくなっているという点では、前より効果が少なくなってきています。ビジネス法則は、ファッションなどの流行と同じで、多くの人が取り入れると価値が少なくなります。そのような意味では、本質的に無常性を伴います。

しかしながら、こだわらなければ過去のビジネス法則を知っているに越したことはありません。80対20の法則などは、医療の仕事にも応用できています。自分が受け持っている入院患者さんが40人であるとすると、だいたい2割程度の7〜8人くらいの方の症状が落ち着かないことが多く、自分の労力の8割位をその方々にかけることが多いように思います。入院している方のみならず、外来診療でも同様です。

本書はビジネス法則を学ぶためにも有用ですが、過去のビジネス法則を忠実に実践したにもかかわらずうまくいかなかった方は、本書を読むとより得るところが大きいかもしれません。



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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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