2007年08月01日
『会社は頭から腐る』
冨山 和彦著 2007年7月26日 1575円(税込)
著者は産業再生機構の元COOです。本書では、著者の長年の経営コンサルティングや産業再生機構での経験を元にして、企業や経営のあり方について熱く語られています。
タイトルからも分かるように、経営において、頭で考えることに偏りすぎることについて警鐘を鳴らしています。本書は一言でまとめると、企業経営における非合理性について合理的に述べられた本であると思います。
日本企業の強さについては現場にあるということですが、著者によると、経営力についてはまだまだだそうです。著者は本書を「経営医学序説」とされています。企業の病理、経営者の病理を「経営現場の臨床医」として見つめ、格闘されたとのことです。
精神科の病気において、治療が難しい場合の理由の一つに自分が病気であるという「病識」がないということがありますが、企業の再生も同様のようです。問題がある企業の多くは、経営者自身に企業が病気であるという自覚がありません。
やはりポイントは柔軟性であるように思います。善いことにしろ悪いことにしろ、いずれにおいても柔軟性がないと回復しにくいと思います。何となく調子がおかしいということは、人にしても会社にしても、どこか修正すべき点があるというサインなのですが、気づきを得て自主的に改善する決心が付くまで苦しい状態が続きます。
人も企業も本質的に内部に矛盾を抱えています。本書にもあるように、楽な方向に流されず、矛盾を矛盾として受け入れることが大切なようです。