2007年08月03日
『M&A大再編で消える会社、伸びる会社』
小宮 一慶著 2007年8月2日 1365円(税込)
著者は経営コンサルタントで、M&Aなどのアドバイザリー業務などもされています。本書では、これから我が国で活発になると予想されるM&Aを中心とした業界再編について、具体的な各業界の事情などを踏まえて、具体的に書かれています。
三角合併が解禁されましたが、まだ事前に騒がれていたほどには世間を賑わせていません。大騒ぎしていたほどにはたいしたことないと思われかけていますが、世界の潮流を考えると、我が国においても、ボディーブローのように効いてくると思われます。
消費者の立場からは、良いものやサービスをより安く売ってくれる企業がよい企業であり、株主の立場からは、企業価値を上げることにより株価を上げてくれる企業がよい企業です。M&Aを敬遠するのは、企業価値の低い企業の経営者であり、日本の人口からするとほんのわずかです。
本書で具体的に述べられている業界は、鉄鋼、製紙、流通、外食・食品、金融などです。いずれも、新聞でもよく話題になっています。シティグループが東証に上場する話が出てきましたが、これは邦銀買収の布石ではないかとのことです。
日本人はいったん受け入たものについては、適応力があるので、M&Aについても経済的効率を上げるようなよい方向に利用するのではないかと思います。
本書は、とくに新しい話は述べられていませんが、M&A、ファンド、企業価値などの仕組みや、業界の現状についてバランスよく述べられた読みやすい本であると思います。