2007年09月05日
『ハーバードMBA留学記』
岩瀬 大輔著 2006年11月20日発行 1890円(税込)
現在は更新されていませんが、著者が2年間にわたりup-to-dateで書き続けていた、ブログ「ハーバード留学記」が書籍化されたものです。留学の体験を中心に、アメリカ資本主義について随筆風に書かれています。
ブログの内容がほぼそのまま本になっているため、やや冗長な感じはしますが、内容や文章にみずみずしさを感じます。本書の最後で、業界で著名な投資家が著者の起業に投資する話が出てきますが、本書を読むと、投資家が著者に投資したくなる気持ちもよく理解できます。現在は、ネット生保を立ち上げ中とのことで、それについてのブログが日々更新されています。
最近はMBA関連の本も数多く出されており、知識の点では必ずしもハーバードに留学する必要はないかもしれませんが、本書を読んで、留学には以下のようなメリットがあるように思いました。
- 人的コネクションの形成
- 意欲の向上
- 意識の変革
人的コネクションの向上については、世界中から将来のグローバルビジネスにおける幹部候補生が集まっています。2年間勉学をともにすれば、多くの人と深いつながりができ、同じ釜の飯を食った仲間となるので、世界的にビジネスを展開する上で有利になるでしょう。
意欲の向上とは、さまざまな刺激を受けてやる気が出るということがまずあります。それに加えて、本書にあるように、留学費用は2千万円かかります。2年間働かない機会損失を加えると、1億円くらいのロスがあると思いますが、それだけの投資をすると、何とかしてそれを生かしたいという大きな動機づけとなると思います。そのような観点からは、会社から学費と給料を出してもらいながら留学するよりも、自費で行く方が望ましいでしょう。
意識の変革については、周囲の人や卒業生に成功したビジネスパーソンが多いため、そのような人たちと一緒にいると、自分と大きな違いがないということに気付き、自分も同じようになれるのではないかと思えるようになるということです。人は自分で自分の限界を知らないうちに設定していたりするので、留学することにより、その限界が自然となくなるかもしれません。
上記の3つは、ビジネスの成功に必要とされる大きな要素ではないかと思います。知識面よりも、これらのものを自然と得ることができることに、米国の一流校への留学の意味があると言えるでしょう。