2008年01月01日

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『A Bull in China』5

Jim Rogers著  2007年12月4日発行  $26.95

A Bull in China: Investing Profitably in the World's Greatest Market

あけましておめでとうございます。本年も良書を数多く紹介したいと思いますので、よろしくお願いします。

今年1冊目は、著名な投資家ジム・ロジャーズの新しい本です。今年は北京オリンピックも予定されており、本書は今年度の初日にふさわしい本であると考えました。残念ながらまだ日本語になっていませんが、おそらく数ヶ月で翻訳が出版されることでしょう。



ジムは以前からも著作や講演で中国の長期的な発展を予想しており、21世紀は中国の時代であると主張しています。投資はもちろんのこと、娘にも中国人のベビーシッターをつけて、生まれたときから中国語を身につけさせています。

本書は、中国株における各セクターごとの総論や具体的な銘柄について解説されています。中国の銘柄の解説が中心になっていますが、アメリカにおける中国関連の銘柄についても具体的な名前を挙げてコメントをしています。

具体的な銘柄はもちろん投資の参考になるのですが、それよりも歴史の流れに沿った中国という国についての見方や、国が経済発展する際にどのようなセクターがどのような根拠によって発展するかについての考え方の方が参考になります。

個々の銘柄の具体的な内容については、日本語で出版されている『中国株二季報』や『中国株四半期速報』の方が分かりやすいと思いますが、本書の読みどころは大投資家の投資哲学、世界観、経済観、銘柄選択の基準などにあります。

現在の中国はさまざまな点で、1800年代後半のアメリカに似ていると書かれています。1900年代はアメリカの大発展の時代でした。2000年代は中国大発展の時代になるのでしょうか。

昨年北京に行って思ったのは、中国はまだまだ発展していないところが多いということでした。北京の中心部でさえも、空き地や古い建物がゴロゴロしています。人も洗練されていない印象も受けるのですが、逆に考えるとさらなる発展の余地が非常に大きいということです。

中国人は「がめつい」感じがしたのですが、利にさといとも考えられます。個人個人が遠慮なく利得を最大化しようとしています。経済発展のエネルギーは溢れているので、混乱が起こらないようにすれば、発展は続くことでしょう。

中国の長所はいろいろとありますが、現実検討力が高く優秀な政治家が多いように思います。あまり表には出てこないのですが、一部の人の知的レベルは非常に高いです。優秀な人が尊敬されるような伝統もあります。文字を重視する文化なので、良書も数多く出版されています。学生にも会ったのですが、非常に真面目で勉強熱心でした。

もちろん中国に対して否定的な本に書かれているようなことが、実際に数多くありますが、総合的に考えると、紆余曲折は経ながらも中国の発展は続くと思います。

今日も初詣に行くときに本書を電車の中で読んでいたところ、前の席に座っている中国人のカップルが旅行中でした。経済発展とともに中国人の海外旅行が増えるので、中国の旅行産業が発展するという内容をちょうど読んでいたところでした。

本書はCDで同タイトル『A Bull in China: Investing Profitably in the World's Greatest Market』が出る予定です。こちらもすでに予約しました。

原書はやはり会社名や人名などがわかりにくいため、日本語版が出版されてから読んだ方がわかりやすいと思います。自分のように翻訳されるのを待てなければ、本書は英語版でも読む価値があると思います。



investmentbooks at 23:55│Comments(0)TrackBack(1)clip!本--中国経済 

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1. ジム・ロジャーズ中国の時代  [ 活かす読書 ]   2008年07月23日 10:34
ジム・ロジャーズ中国の時代 (2008/06/14) ジム ロジャーズ 商品詳細を見る 満足度★★★ 本書は、bestbookさんのブログで、半年くらい前??.

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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