2008年01月12日
『ブスの「力」』
石川 香著 2007年12月20日発行 1365円(税込)
著者は銀座のナンバーワンホステスから、現在は3店のクラブのオーナーママをされており、さらに他のビジネスも展開されているようです。
ホステスのセールスポイントとして、容姿が大きな比重を占める銀座の世界において、いかにして著者が弱点を乗り越えて、あるいはそれを逆用してホステスとしてナンバーワンになり、さらに繁盛店を3軒も創り上げたか、そのノウハウが詳しく述べられています。
ある業界で成功しようと思ったら、その業界では有利になる特徴を持っているに越したことはありません。例えば、本書のような銀座の世界では容姿がよいに越したことはないでしょう。
しかしながら、そのためかえってその業界の価値観から抜け出すことができず、新たなブレークスルーが起こりにくいという弊害もあります。とくにビジネスでの大きな成功は、いままでその業界で非常識であると思われていたり、考えもされなかったようなことから生じることが多々あります。本書もその一例です。
著者の成功を導いたと思われる、印象に残った見出しを書き出してみます。
- 流行を追いかけても平均点以上は取れない
- 「時代の波に乗り遅れまい」は、すでに遅れている
- 人との比較は、成長を止める
- 「ただしい選択」ばかりしようとすると、運は逃げていく
本書で繰り返し述べられていることは、固定的に考えないということです。
人と比べると、その比べている価値観からは出ることができません。その価値観の中で生きてしまうと、その価値観の中では上には上がおり、たとえ運良く一番上になったとしても、今度は一番でなくなるという不安が生じてしまいます。
価値観を固定した瞬間に、心の安定が遠ざかってしまいます。常に人と比較して心が落ち着かなくなるような状態の時は、その価値観を変えた方がよい時期に来ているのかもしれません。
男性が女性のいるクラブに行くのは、艶やかさを求めるということはありますが、それ以外にも母性を求める気持ちもあります。むしろそちらの方が強いかもしれません。
本書では、いかにして男性の母性を求める気持ちを満たすかということが書かれています。男性のその欲求を満たすことは、男女の長期的な関係を続ける上で女性にとって大切なポイントです。
銀座は男性が求める母性を売っている場であるとも言えます。「ママ」という呼称からもそのことが分かります。本書では、商売のみならず、男性の母性を満たすためのヒントが数多く書かれており、そのあたりも本書の読みどころでしょう。