2008年01月25日
『右脳でわかる!株式投資力トレーニング』
窪田 真之著 2008年1月18日発行 840円(税込)
著者は違いますが、以前に紹介した『右脳でわかる!会計力トレーニング』と同じシリーズです。カラフルな図を多用してイメージで理解する主旨には変わりがありません。
Q&A形式が中心なのは前著と同じですが、本としては今回の方がより実践的であり、より株式投資に役立つ内容に仕上がっています。
テーマもかなり絞られているのが、わかりやすさの理由の一つになっています。貸借対照表と損益計算書を軸に、PBR、PER、配当、チャートなどについて実践的に図解されています。また少しですが、非常に初歩的な経営戦略についても解説されています。
典型的に分かりやすい例が述べられているので、実践では本書ほどきれいに分析することはできないかもしれませんが、典型例を通して本質を理解しておくのは重要です。応用問題は基礎問題を理解しないと解けません。
厳密に考えると本書の答えとは違った方針もあるかとは思われますが、意見が異なったとしても、著者が何を答えさせたいかということが参考になります。試験問題で正解と自分の考えが違っても、出題者の意図に沿った答えを出すことができるのも一つの能力です。
意見が異なりそうなところは、「私は・・・・・・」と自分の意見であることがきちんと書かれているところもあります。ちなみにその問題は、ソフトバンクとNTTドコモの貸借対照表と配当利回りからどちらを投資対象として選択するかという問題です。著者の選択はNTTドコモだそうです。
PBRの分析については、主に今後の業界再編におけるM&Aでのターゲットになりやすさなどについて書かれています。今後の日本企業で話題になることでしょう。
本書は初級〜中級者向けの本です。PERやPBRの定義は知っているけれど実際の投資でどのようにそれらの数値を利用すればよいかはっきりとは分からない方に役立つ本に仕上がっていると思います。