2008年01月28日
『バフェットの教訓』
メアリー バフェット/デビッド クラーク著 峯村 利哉訳
2008年1月31日発行 1575円(税込)
バフェットの教訓―史上最強の投資家 逆風の時でもお金を増やす125の知恵
まだ画像が取得できません。原著のタイトルは『The Tao of Warren Buffett』であり、タオという言葉が入っています。タオは道教の「道」ですが、普遍的な宇宙法則のようなニュアンスがある言葉です。
本書の著者の一人であるメアリー・バフェットはウォーレン・バフェットの義娘であり、『億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術』や本ブログでも紹介した『麗しのバフェット銘柄』などの著作がありますが、本書ではバフェットの株式投資に関する125の警句についてコメントを付しています。
株式投資の箴言集とも言えるべき内容ですが、優れた箴言は読み手の思考を刺激する働きがあり、本書はそのような点でも味わい深い内容となっています。ウォーレン・バフェット関連の本を読んだ方であれば、聞いたことのあるものも数多く含まれていると思います。
印象深い言葉をいくつか引用してみます。
「金を持っていれば、ある程度、周りの環境を面白おかしく変えることができる。しかし、いくら金を持っていても、愛情や健康を買うことはできない」
莫大な純資産を持っているからこそ言える言葉です。付け加えさせてもらうと、「ただし、いくらかのお金がないと愛情や健康を損ねることがある」。
「自分の望む仕事を始めるべき潮時が訪れたら、逃してはならない。好きな仕事に就いていれば、あなたは毎日うきうきとベッドから起き出せるようになる。履歴書の見栄えを良くするために、好きでもない仕事を続けるというのは、わたしに言わせれば、愚の骨頂である。たとえるなら、老後に精力を残しておきたいからと、若いころにセックスを我慢するようなものだ」
本当にやりたいことがあれば、ためらわず行うのが秘訣のようです。本当にやりたいことを見つけることができた人は、それだけでも幸せです。
「われわれは投資先にあれこれと口出しをする気はない。相手を変えようとする手法は、投資でも結婚でも事態を悪化させるだけである」
このように言えるためには、あれこれ口出しをしなくてよい投資先を選択できる眼力が最初の時点で必要です。結婚も同じかもしれません。
「ミスを犯さない人には意思決定などできない」
株式投資にはミスは付きものです。人生においても同様ですが、ミスの可能性を引き受けないと主体的に前に進むことができません。
「優良企業が異常な環境下に置かれ、株価の鑑定ミスが引き起こされたとき、すばらしい投資機会が訪れる」
ここ最近、あるいはこれからの市場の状況に当てはまるのかもしれません。
紹介した以外にも、数多くの名言があります。株式投資を行う方であれば、折にふれて繰り返し読むと心に響くものがあると思います。株式投資をしてよかったことに一つに、本書のような本から賢人の言葉を通じて人生哲学を学ぶことができるということがあります。
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この記事へのコメント
いつも非常に質の高いブログを読まさせていただきまして、ありがとうございます。
「能力範囲内に投資先が見つからないとき、我々は範囲を広げない。我々は待つ。」
「五兆ドル規模の米国市場で儲けを出せていないのに、海外市場に河岸を変えれば、きっと本領を発揮できるはずと考えるのは、希望的観測に過ぎないだろう。」
というところにも感銘を受けました。
これからもよろしくお願いします。
ブログ読んでいただきありがとうございます。
本書は他にもさまざまな名言が載っており、どれを引用するかでで迷いました。
コメントで引用されている言葉も印象的でした。
最初の語録についてですが、投資で待つのは重要ですね。投資のリターンは我慢できたことに対するご褒美と言っている方もいます。
最近は米国以外にも投資をしているようですが、二番目の語録は、理解できるものにしか投資しないというバフェットの哲学が滲み出ています。
これからもよろしくお願いします。