2008年01月30日

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『牛丼一杯の儲けは9円』5

坂口 孝則著  2008年1月30日発行  756円(税込)

牛丼一杯の儲けは9円―「利益」と「仕入れ」の仁義なき経済学 (幻冬舎新書 さ 5-1)

連日で申し訳ないのですが、まだ画像が取得できません。著者は「現役バイヤーかつ調達業務研究家」であり、仕入れについての著作を数冊過去に書かれています。

本書のテーマも「仕入れ」についてですが、新著版のため読みやすくなっています。仕入れはビジネスの本で部分的には書かれていることはありますが、正面から採りあげている本は、著者の本くらいではないでしょうか。



最初にいくつかの業界の商品について利益率の分析があります。本書のタイトルは、一杯350円の牛丼の利益が9円ちょっとというところに由来します。その他の商品についてもいくつか分析されていますが、利益率は売値のせいぜい数パーセントです。

思ったより利益率は低いという印象を持たれる方がいるかもしれませんが、企業の損益計算書を見ても、売上高純利益率はせいぜい数パーセントのことが多いようです。純利益が株主の取り分ですが、いろいろと差し引かれた残りのようなものかもしれません。

本書に書かれているように、仕入れの重要さは安く仕入れた分がそのまま利益になるところにあります。逆の売る側の立場から考えると、安く売ってしまうとそれだけ利益が減ることになります。

売買は本質的には、買う側と売る側で一定の経済的価値をどのように配分するかという問題に帰着します。著者によると、「売り買いは知的ゲーム」だそうです。著者の現場での経験が長いため、本書では仕入れについて表面だけでなく、裏面についても述べられており、本書における一つの読みどころといえるでしょう。

利益を下げる仕入れの条件について書かれています。

  1. 仕入れ商品について知らない
  2. 市場価格を知らない
  3. 仕入れ条件が曖昧になっている

これは仕入れに限らず、ビジネスにおいては重要なことです。これらのことを把握していない方から把握している方に富が移転します。

日本では流通の過程において、途中に業者がいくつか入ることにより最終的な商品が割高になっていることが指摘されています。このあたりは野口悠紀雄氏の本でもよく指摘されているところです。

このような非効率性を少なくするためには、最終的な消費者も含めて、仕入れをする立場にある人が厳しく仕入れについて考えることが重要です。そのきっかけとして、本書は読みやすく有用な本であると思います。



investmentbooks at 23:51│Comments(2)TrackBack(1)clip!本--経営 

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1. 牛丼一杯の儲けは本当に9円なのか  [ 世界一のバイヤーになってみろ!!坂口孝則の本棚と雑文 ]   2008年02月13日 23:05
本当に嬉しいことに、ぼくの新書が好評。牛丼一杯の儲けは9円―「利益」と「仕入れ」

この記事へのコメント

1. Posted by momonotomo   2008年01月31日 17:05
はじめまして。momonotomoと申します。

最近Blogを始めました。
主にビジネス本(やさしいほう?)
中心にちょっとした感想を書いています。
お暇な時があったら遊びに来て下さいね。
2. Posted by bestbook   2008年02月01日 00:00
はじめまして、momonotomoさん。
コメントありがとうございます。

リンクがないので、検索して拝見しました。
このブログとコンセプトが似ているので、
参考になります。

今後、折に触れて訪問させていただきます。

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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