2008年02月09日

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『妻を愛する技術』5

アダム 徳永著  2008年1月20日発行  840円(税込)

妻を愛する技術 ――スローセックスから日常の会話まで (講談社+α新書 319-2B)

ベストセラー『スローセックス実践入門』のアダム徳永氏による新刊です。前著を読まれていない方で、本書を読もうとされている方は、まず前著から読まれることをおすすめします。また、関連書籍も多く出ています。

タイトルは「妻を愛する〜」となっていますが、内容的にはパートナーとなる女性も愛する対象になっていると思います。前著と比べると、本書は身体より精神論的な内容に主眼が置かれています。タイトルに「技術」とありますが、愛の一表現としての「技術」です。



本書では前著のようなセックスの技法はほとんど書かれていませんが、氏が本当に書きたかったのは本書のような精神論や日常生活での振る舞いではないでしょうか。本書を読むと氏がパートナーに対する愛し方を、なんとかあふれる思いを込めて表現しようとされている気持ちが伝わってきます。

しかしながら、実際に表現できているのは氏の気持ちの数分の一程度です。読んでいてもどかしさが伝わってきましたが、ご本人によるあとがきにもそのようなことが書かれていました。言葉による愛の表現には限界があるようです。

前著はセックスを通じて愛を表現することがテーマでした。愛は言葉だけで表現するよりも、セックスを通じての方が表現しやすいのかもしれません。愛はいくら想いがあっても、なんらかの具体的な形による表現の方がよいのでしょう。

前著が新書という一般の目に触れやすい形で出版されたときは軽い驚きがありました。以前の本は平積みにできないような装丁でも出ていました。

氏の功績は以下の点にあると思います。

  • セックスについて公に教える場を作り、精神面を重視したセックスの技術を伝達可能にしたこと
  • セックスの本質的な技術を「アダムタッチ」というシンプルな形にまとめたこと
  • セックスの本質が男女間における「気のエネルギー」の交流であることをわかりやすく示したこと

セックスの本質が気のエネルギーの交流であるということは、密教のタントラや道教の房中術など、エソテリックな宗教的伝統の文脈で昔から語られ実践されていました。日本語での本も出ていますし、英語ではさらに数多くの本が出ています。また、宗教画や像でもよく表現されています。

フロイトの弟子のライヒも性エネルギーについていくつかの本を残しており、ライヒから派生したいくつかのボディワークの体系もあります。性エネルギーの考え方は昔からあり、本当の意味で新しいことはないのですが、普及しやすい形でわかりやすく表現されたことに氏のオリジナリティと価値があります。

本書には氏の奥さんとのエピソードも出てきます。氏が今広めている理論を創り上げるために、奥さんの同意を得てから1000人以上の女性との関わりを持ったそうです。

氏の方法をパートナーが実践して女性としての歓びを得た女性がいるとしたら、氏の妻について思いをはせてもらいたいと思います。その歓びの元には氏の性愛に対する探求心と、そしてなによりも氏が性の世界を探求することを認めた妻の存在があります。一般的な女性の感覚では、いくら探求心のためとはいえ、自分の夫が不特定多数の女性と性的な身体的接触を持つことは、少なくとも初期の時点ではかなりつらいことなのではないでしょうか。

氏の妻による夫の探求心を受け入れる寛容さがなければ、数多くの女性は氏の方法による歓びは一生経験できなかった可能性もあります。夫が何かを探求して、それが世の中のためになるものであれば、妻はそれをサポートすることが結果的にはもっとも夫に愛されることになるのかもしれません。もちろん、妻に何か探求するテーマがあれば、夫と妻の役割が逆転する場合もあるでしょう。

本書のような本を氏が書いたのも、氏の長年の活動に対する妻のサポートへの感謝と愛を示したかったという意味合いもあると思います。



investmentbooks at 23:43│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--男女関係 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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