2008年02月16日
『富裕層はなぜ、YUCASEE(ゆかし)に入るのか』
高岡 壮一郎著 2008年2月10日発行 1680円(税込)
YUCASEE(ゆかし)というのは富裕層限定のプライベートクラブだそうです。ここでの富裕層の定義は「純金融資産1億円以上を持っている人」です。入会の基準としては、単にその定義を満たせばよいだけではなさそうです。
本書は日本における新世代富裕層「インテリッチ」がテーマです。「インテリッチ」という呼び方は、新世代の富裕層が知識や知恵などと深く関係しているところから来ているようです。
本書の第一章から五章までの内容は以下の通りです。
- 新世代富裕層「インテリッチ」の誕生
- インテリッチはどうやって富裕層になったのか?
- インテリッチが社会を変える
- 新世代富裕層の日常としての〈ゆかし〉
- 世界が富裕層を奪い合う
本書は日本においてすでに数多くの富裕層が存在しているということが前提になっています。その上で、富裕層のニーズを満たすために、何を提供するかということが一つのテーマになっています。
本書は幻冬舎メディアコンサルティングから出版されています。リンクされているページを見てもらうとわかりますが、幻冬舎の子会社であるこの会社は、企業や個人向けに、出版をブランディングやマーケティングのツールとして提供することを業務としています。
本書も「ゆかし」のマーケティングツールとして出版されている面もありますが、そのことは出版元を知ることによるだけでなく、本書を読むことによってもよくわかります。本が広告として使われているということはありますが、富裕層についての分析もなされているため、とくに「ゆかし」に関心がなくても読める内容です。
富裕層は富裕層としての情報を求め、富裕層に限定で情報を提供したい企業などは数多く存在します。「ゆかし」のようなプライベートクラブは需要と供給をマッチングさせる場として機能しているのでしょう。時代の流れからして必然的に生まれているとも言えます。
格差社会の是非について議論が盛んですが、新世代富裕層が存在していることを所与として社会の一部は動いています。富裕層が存在することが日本経済にプラスであれば、下部構造が上部構造を決定し、富裕層についての考え方は徐々に変化してくるのかもしれません。
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この記事へのコメント
それ以外にも現在の世界的な富裕層などをデータとともに紹介しておりなるほどなと思わせるデータがちりばめられていました。
ぎらぎらしている富裕層の世界ではなく本物の優雅な富裕層のサイドのみ記載しているので富裕層と言う言葉の聞こえがいい。ゆかしの審査は、若干厳しいらしいのでそうなんだろう。
実際問題、富裕層だけに限ればとんでもない人間に恐ろしい人やおかしい人がいるのも事実だ。
人間なので富裕層でも色々いると言ったところだが読んでいて気持ちがいいかきっぷりだった。
「ゆかし」は富裕層同士が共感できる場を提供しているので、心理的な面でもニーズを満たしているようです。
本書で定義される富裕層の共通点は、主に純金融資産を持っていることなので、書かれている通り、多様性はあると思います。
本書は電車の広告などでも見かけ、よく売れているようです。