2008年02月21日
『マネーはこう掴む』
藤巻 健史著 2008年2月25日発行 1575円(税込)
伝説のトレーダー藤巻健史氏の新刊です。ちなみに前著は下のような感じでした。
前作はバックが黒で力強いイメージでしたが、今回は白でクリーンなイメージです。ひょっとしたら、前作での市場の動きが著者の予想と「反対方向に動いて」いるからかもしれません。
ただし、「私自身は自分の信念、予想は全く変えていませんし、自分の資産運用法も変えていません」ということです。
本書のテーマは先物やオプションなどのデリバティブについて、平易に解説することです。その中でも、個人でも使えるデリバティブ取引について主に解説されています。実際に出版社に希望者を募って講義をした内容がまとめられているようです。
著者の講義については、以前にもいくつか本が出ているのですが、本が出版されたときのマーケットについての著者の見方が本書の読みどころです。現在どのような根拠でどのようなポートフォリオを組んでいるかが終わりに書かれています。
- お金を長期固定で借り不動産を購入
- 日経225先物を買い
- アメリカ株の個別銘柄を買い
- 日経225先物のオプションを買うことも
- 債券先物を売り
- 債券先物のプットオプションを買い
- 外為証拠金取引でドルを買い
どのような理屈で著者が上記のようなポジションを取っているかがはっきりしなければ、本書を読む意味はあると思います。
サブプライム問題が大きくなる前のポジションと、現在の著者のポジションとほぼ同じです。今のところ著者の予想とは反対方向にマーケットが動いていますが、上にもあるように、著者は信念とポジションは変えていないそうです。
長年の主張である円安や資産インフレについての考えも変わりません。サブプライム問題の結果、むしろ急激な資産インフレが来る可能性について言及されています。サブプライムによる各国中央銀行の資金供給による過剰流動性のためです。
結論としては、著者の長期的な予測に変わりはありません。むしろ、今回のサブプライムの件は、跳びはねる前にしゃがんでいる状態であると思われているようです。
予想が外れたことについては、やや自虐的な書かれ方をしていますが、奥底には御自身の予想に対する自信が感じられる本でした。おそらく、いままでにも今回のようなことはよくあり、それを乗り越えて来られたのでしょう。