2008年02月29日

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『実況LIVE 企業ファイナンス入門講座』4

保田 隆明著  2008年2月28日発行  2100円(税込)

実況LIVE 企業ファイナンス入門講座―ビジネスの意思決定に役立つ財務戦略の基本

経済・金融のエバンジェリスト保田隆明氏の新刊です。タイトルにある「実況LIVE」というのは、もともとアカデミーヒルズで行われた講義が本書のもとになっているからです。アカデミーヒルズの講義内容がまとめられてベストセラーになった本としては、本ブログでも紹介した『財務3表一体理解法』があります。

ちなみにあとがきによると、本書のもとになった講義は全6回で、1回あたり2.5時間のお値段は1万円だったそうです。本書はサイズも大きく400ページ近い本ですが、やさしい語り口で書かれており、図表も多用されているため、見かけよりは通読しやすい本になっています。



本書では、企業価値を軸にして、会社のライフステージ、資金調達と資本政策、企業価値の向上、M&A、株主還元政策、IRなどについて、実際の現場での雰囲気が感じられるように解説されています。

株価や株式市場の反応を意識しながら企業価値を創造する過程が参考になります。基本的には、会社を経営する側の視点に立った本ですが、投資する場合でも、経営サイドの考え方を知っておくに越したことはありません。

DCF法などのファイナンス理論がベースになっているコーポレートファイナンスの本なので、理論的な内容です。企業経営は必ずしも理論的には行かないこともあると思いますが、そのことを認識した上で理論的なことを理解しておくのは必要なことであると思います。

M&Aの交渉の現場などにおいては、最終的には数字を確定させる必要がありますが、そのためには途中の過程を説明できるような共通の評価方法が必要となります。企業の評価は、もともとはっきり数字として確定できないものであるからこそ理論的な枠組みが必要です。

これは西洋医学的な人体の認識に似ています。もともと人間の体は検査値などの数字だけでとらえることのできない曖昧さがあります。曖昧であるからこそ逆に共通の土台としての検査値の重要性が増します。検査値だけでは判断できませんが、検査値を通じて理解できることは重要です。

コーポレートファイナンスの理論にしても、医学にしても理論的なことを理解しながらも理論だけにとらわれないというスタンスが重要です。これはどんな分野にも当てはまるかもしれません。現場の人には、理論は実践より軽視されがちですが、理論が悪いのではなく、理論への過度なこだわりがよくないだけです。

本書のタイトルにある「実況LIVE」は講義の実況の意味だと思いますが、投資銀行のM&Aなどにおける現場の実況にもなっているようです。

本書の想定読者としては、コーポレートファイナンスを学ぶ学生、経営者や起業を目指すビジネスパーソン、ファイナンス理論の視点から企業価値を理解したい投資家などが見込まれると思います。



investmentbooks at 23:56│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--ファイナンス理論 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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