2008年03月25日
『招客招福の法則 2』
小阪 裕司著 2008年3月21日発行 1365円(税込)
日経MJに連載されているコラムがまとめられたもので、本書は2冊目の本です。本書に興味のある方は、まずは以下の本から読まれた方が分かりやすいでしょう。
本書は商売についてのさまざまエピソードが集められた本ですが、著者は感性を重視されるマーケティングをされる方であり、一つ一つのコラムにその色合いを感じることができます。
商売においてもっとも大切なのは、人と人の心のつながりであるということも一貫しています。本書で述べられているのは、個人事業、中小企業レベルの話題が多いのですが、大企業にも必要とされることでしょう。
商売で成功するために人間関係を重視するという考えについては、純粋な方であれば、「お金のために人間関係・・・?」と躊躇される方もいるかもしれません。
しかしながら、人の感情的交流を抜きにした純粋な商売はありませんし、利害関係を抜きにした純粋な人間関係もありません。そうであるのならば、商売においてもお客さんを感動させるような創造性を発揮するのがよいのではないでしょうか。
本書で登場する話としてよくあるのは、お客さんを喜ばせるために工夫して実際に喜んでもらい、買う方のみならず売る方も幸福感を感じるというエピソードです。商売人としての幸せを感じるためにはどのようにすればよいかという、現場に即したヒントが集まっています。
商売の本質は、5の価値があるものを仕入れて、自分の創意工夫により5の付加価値を作り10で売るということです。人によっては10の価値のものを8で売る人もいることでしょう。
付加価値が大きければ大きいほど、そしてお客さんの取り分が大きければ大きいほど喜ばれます。おそらく理想的なのは、5の価値のものに10の付加価値をつけ15のものを創り出し、それを10で売ることでしょう。自分もお客さんも5ずつのプラスがありwin-winの関係になります。
人は他の人を喜ばせたときに幸福になるようにできています。自分が喜ばせたい人であればなおさらです。人は多くのものを所有したいと思う傾向にありますが、根底には多くのものを所有するとそれだけ他者を喜ばせることができるということもあるように思います。所有するだけで相手に与えない人は、他者を喜ばせて幸福を感じるという、最も「おいしい」部分を逃していることになります。
本書は、やさしい言葉で書かれており、話の内容も分かりやすいのですが、なぜか早く読むことができない本でした。早く読もうと意識しても、早く読むことを無意識が拒否している感覚があります。もともと、コラムとしてまとめられているということもあるのでしょうが、一つ一つのエピソードに込められている「想い」もあるのでしょう。