2008年04月27日

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『脱・金融大恐慌1993-2008』4

松藤 民輔著  2008年4月25日発行  1470円(税込)

脱・金融大恐慌1993-2008

このブログを開始してから出版された著作はすべて紹介している松藤民輔氏の新刊です。新刊ですが、1993年に出版された『脱・金融大恐慌―大混乱こそ大チャンス』の復刻版となっています。新しい章と130以上の本文への注釈が加わっています。

本書は15年前の内容ですが、今から読み返しても古さを感じさせません。著者が予測されたことは、15年後の今から振り返ると、当たっていることはずれていること両方ありますが、当時の状況からすると考えられなかったことも実現しています。



本書を読むと、著者の主張は15年前から本質的にはほとんど変わっていません。アメリカとドルの凋落、金の高騰、日本経済の底力、中国の不安定さなどについては最近の著書でも繰り返し述べられていますが、これは著者の世界観が一貫して変わっていないということでしょう。

この15年間の間に、アメリカの株価は大きく上昇したこと、円が基軸通貨になっていないこと、中国が国家として統一された状態で経済発展を続けていることなどについては著者の予測と異なり、いまのところ必ずしも当たっているとは言えないようです。

円が対ドルで80円程度まで円高になること、日経平均が6000〜8000円になること、銀行が倒産すること、日本の株式市場で外国人投資家が幅をきかせること、日本がデフレになることなどについては、時期のずれはありますが的中しています。おそらく当時はあまり予測されていなかったことです。

著者が本書で書かれている金融についての考え方などは、ようやくここ数年日本でもよく耳にするようになりましたが、1993年から考えるとかなり時代を先取りしていたようです。ひょっとすると、まだ追いついていないところもあるかもしれません。

1993年の10年後、つまり2003年について経済以外の予想をされています。農業、医学、教育ですが、それらの予想についてはまだ時代が追いついていないようです。

本書を読んで分かるのは、著者の予測は本質を捉えているところは多いと思いますが、先見の明がありすぎるため時代が著者に追いつかず、その結果予測が現実化する時期については、かなり先になることが多いことです。

以前本ブログで紹介した著者の本

アメリカ経済始まりの終わり

世界バブル経済終わりの始まり

無法バブルマネー終わりの始まり



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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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