2008年05月02日
『eワラント完全マスター』
天海 源一郎著 2008年4月30日発行 1575円(税込)
本書もまだ画像がありません。株について投機的な視点からの著作が多い天海源一郎氏による、eワラントについての入門書です。
eワラントについては過去にも何冊か本が出ておいますが、ゴールドマン・サックスによって開発され市場が作られている金融商品の一種です。一般的なネット証券を通じて取引に参加できます。わざわざ一冊の本としてテーマになっているのは、以下のような特徴があるからです。
- 少額から取引できる
- 個別銘柄、インデックス、外貨、商品など取引対象が多様
- 相場の上げ下げにかかわらず利益を得られる
- 夜間も取引ができる
- レバレッジによるハイリターンが見込める
- オプションなので損失が限定される
本書がこの時期に出版されたのは、マーケットでしばらく下げ相場が続いていることもあるのかもしれません。
注意すべき点としては、
- ハイリスクである
- 手数料、スプレッドがありコストがかかる
- 株とは税金が異なる
本書には税金のことについては書かれていませんでしたが、利益が大きくなればなるほど影響が大きくなるため、注意と理解が必要です。
本書はeワラントという金融商品を通じて、投機についての心構えが書かれており、そのあたりが読みどころです。
個人投資家にとってのeワラントの一番のメリットは、強制的に損切りができるということでしょう。オプションなので損失が限定されます。信用取引でレバレッジをかけて空売りをするのであれば、eワラントのプットを購入する方が、精神的に楽な面があります。
株式投資の期待値は正ですが、スプレッドと手数料の分だけ、eワラントの期待値はマイナスであることに注意しておく必要はあります。長期的に利益が出るとしたら、自分が特別な情報を持っているか、過剰反応する市場心理を利用できる場合です。暴落や反転の可能性が高いと思うのであれば、大きな利益を得られる可能性があります。
eワラントは、ゴールドマン・サックスを胴元とするギャンブルと考えておいた方がよいでしょう。そのことと、上記に挙げたeワラントの性質を理解して参加するのであれば、商品として面白いのかもしれません。