2008年05月03日
『独身女性の性交哲学』
山口 みずか著 2007年12月25日発行 1575円(税込)
本書の存在は書店ではなく、小飼弾さんのブログの記事で知りました。ネットを通じて買ったので、書店で実物を見たことはありません。
本書は、性風俗業界の現場で長年働かれている女性である著者が、恋愛、セックス、結婚などについて、自らの体験と考察をもとに書かれた本です。
全体的にどこか冷めたものを感じるのですが、これは著者の体験と無関係ではないでしょう。ある業界に長年浸っていると、その業界内のことについてはプロ的な冷静な視点が形成されます。
プロであるということは、プロでないという状態を失うことです。プロであるからこそ見えてくるものは多いのですが、見えないという状態は失われます。例えば、日本人であれば、日本語の文字を見ると、字に見えてしまい字でない絵としては認識できません。
また、作曲家であれば音楽を聞くと、その構成や展開などを意識せずに音楽を聞くことは困難になります。
おそらく性愛についても、同じようなことはあるでしょう。仕事であるにしても、数多くの男性とセックスをすると、たくさんセックスをしていないという状態は失われてしまいます。
性愛は幻想によって成り立つ面が多いので、体験を重ねると幻想がなくなってしまう可能性があります。性体験の多い女性が男性から敬遠されがちなのは、そのような理由もあると思われます。
著者は、代表的な性愛についての新書本などを数多く読まれているようです。風俗の仕事を選択されたのも、おそらく内面的に性愛について何か解決するべきテーマがあったためでしょう。
多くの人は性愛についての幻想の世界に住んでいます。これは性愛の本質を知ることによって自分の世界観、つまり自分が変化するのが怖いということがあります。
お金についても同じような点があります。人はいかにしてお金をたくさん稼ぐか、セックスするかというhowの部分については、大いなる興味がありますが、お金やセックスの本質が何かというwhyの部分についてはあまり知りたがりません。
内容の面白さの割に、本書がいまのところ商業的に目立って成功していない理由は、そのあたりにあるのかもしれません。









