2008年05月07日
『強運になる4つの方程式』
渡邉 美樹著 2008年5月1日発行 777円(税込)
強運になる4つの方程式-もうダメだ、をいかに乗り切るか (祥伝社新書114)
外食産業を軸として、介護、農業、環境、教育などの事業を幅広く展開するワタミの創業者兼社長である渡邉美樹氏の新刊です。本書の最後にあるQ&Aは、働き始めの新社会人を対象にしているようです。
著者は過去にも数多くの著作がありますが、本書は最近のコムスン買収についてワタミの関わりを解説した後、著者の人生経験に基づいて、以下の「強運になる4つの方程式」を解説しています。
- 神様が応援したくなるような努力
- 原理原則を外さない
- 明るくて、人との出会いがある
- 心に一点の曇りもない
多くの人にとっては到達目標となるようなことですが、著者の凄さは、仕事や生活においてこれらを自然な形で日々実践されていることにあります。
その他にも、本書にあった印象的な言葉を抜き出してみます。
「自分のしたいことをやっている、という状態がツキを呼ぶのではないかと思うのです。」
「人とのよい出会いを求める前に、まず、自分自身について考えるべきだと思います。」
「私は、最終的に善悪を貫き通すことが、長期的な損得に関わると信じています。」
「私の根本にあるのは幸せ感です。人間というのは、幸せになるために生まれてきたのだと思います。」
自分もワタミはよく利用します。ひょっとすると、10日に一回くらいは行っているかもしれません。株主優待に惹かれて株主になることを考えたこともありましたが、経営者と会社に人気があるためか、株価が割高に感じたため見送りました。
ワタミが提供する料理は非常にリーゾナブルです。原材料を自社の農園などで調達していること、社長の経営理念に惹かれて人材が集まってくるため人件費が高くならないことなどが、リーゾナブルな理由であるようです。
若い人であれば、給料が高いよりも仕事を通じて成長したいという意欲がある人も多いと思います。そのような人にとってはワタミは魅力的な会社なのでしょう。お客さんも安く食べることができて、お互いに利益があります。
ワタミの経営は、宗教的とも言える理念を強く感じさせます。「愛の経営」と呼べるかもしれません。本書に書かれていますが、著者は10歳で母親と死別されています。
釈迦の母親は生後一週間で亡くなっています。また、『あるヨギの自叙伝』で知られ、アメリカにヨーガを広めたパラマハンサ・ヨガナンダも幼くして母親と死別しています。幼少時の母の不在は、何らかの形で愛を探求させる傾向を人に生じさせるのかもしれません。釈迦やヨガナンダは宗教に解決を求め、「悟り」に至りました。著者は社会事業を通じて、「悟り」を求めているのかもしれません。