2008年05月09日
『イヤな「仕事」もニッコリやれる陽明学』
林田 明大著 2008年5月2日発行 1365円(税込)
イヤな「仕事」もニッコリやれる陽明学―眠ってやれる能力を引き出す極意
著者は在野の陽明学者です。本書にもエピソードで出てきますが、著者の処女作『真説「陽明学」入門―黄金の国の人間学』が出版されたのは15年前、その頃に読んで印象に残った本ですが、現在は増補版も出ているようです。
陽明学は明の時代に王陽明により創始された学派で、儒教から派生しています。同じく儒教から派生した朱子学と対立的に述べられることが多いのですが、わが国でも岩崎弥太郎や澁澤栄一など多くの人物に影響を与えています。
本書は著者が今までに陽明学に関係してどのような仕事をされてきたかということが主に書かれており、陽明学に対する著者の解釈を知りたければ、上記に紹介した著者の処女作を読むのがよいでしょう。「後にも先にも、死ぬ気で書いた本」だそうです。
また、著者の陽明学との関わり、伝説の雀鬼桜井章一氏や元イエローハット社長で掃除運動のリーダーである鍵山秀三郎氏とのエピソード、王陽明について、陽明学の日本における展開などについて幅広く書かれており、ゲーテやシュタイナーとも関連づけた解釈もあります。
本書は陽明学というどちらかというと一般的には馴染みがない学問について書かれていますが、読みやすく書かれています。著者は若い人に読んでもらうよう、わかりやすく書かれたそうです。
わが国では江戸時代に陽明学が独自の発展をしましたが、著者のよれば、その頃の陽明学は江戸人にとっての自己啓発の学問だったそうです。
陽明学は日常生活における実践を重んじる学問なので、ラディカルになりやすく、三島由紀夫や大塩平八郎の乱で知られる大塩平八郎も信奉者でした。逆に考えるとそれだけパワーがあるとも言えるため、行動の原動力となるのかもしれません。
ただし、本書のタイトルにあるようにすぐに「いやな「仕事」もニッコリやれる」かどうかは何とも言えないところです。そのためには、最初の実践にはそれなりの覚悟が必要ですが、陽明学を知ることによって覚悟しやすくなるということはあるのかもしれません。
陽明学のキーワードである「知行合一」の著者の解釈は、「知と行は、もともとひとつである」ということですが、陽明学が単なる学問ではなく、実践性が強く持っていることがわかります。学問と実践が一体になっているところに、陽明学の特徴があるようです。








