2008年05月13日
『ビジネス脳を磨く』
小阪 裕司著 2008年5月8日発行 893円(税込)
昨日に引き続き、新しい新書「日経プレミアムシリーズ」の一冊です。すでに今朝のsmoothさんの記事で紹介されており、内容や読みどころについていつもながらのわかりやすい解説があります。
著者の本は数多く出ていますが、キーワードは感性です。現代は感性社会になっているので、ビジネスにおいても感性が必要であるということを常に一貫して主張されています。
感性についての主張は変わりないのですが、本が出るごとに微妙に学術性が出てきているように思います。感性を追求すると、究極的には人間の認知、つまり脳の高次機能についての理解が必要になってくるようです。
また、感性のビジネスの普及は「道」に行き着くとも述べられています。武道や芸事の目指す方向と同じです。本書では「思考プロセス」と書かれていますが、世界と向き合うときの人間の心のあり方とも言えます。
ビジネスのルーティーン化を追求しないよう、繰り返し書かれています。ルーティーン化すると、楽に仕事ができるように思ってしまいますが、ルーティーン化は人間の創造性を奪ってしまうため、仕事をする楽しみをも無くしてしまうようです。
著者の書かれたものが心に響くのは、ビジネスを通じて幸せに生きるための心のあり方を追求している点を根本に置いているからでしょう。
本書は商売における具体例も述べられています。読んでいると、自分で創意工夫をして物を売りたくなってしまいます。商売を自分でしている人は、工夫する余地が大きいので、心のあり方を追求すれば、常に幸せになりうる環境とともに生きていると思えてきます。
さらに本書に書かれていることを広く読むと、商売をする人のみならず、すべての人は自分の置かれている環境から、新たな価値を想像する喜びを潜在的に持っているとも言えるようです。それを引き出せるかどうかは、自分次第ということが本書から読み取れると思います。
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この記事へのコメント
やはりこちらもお買いになっていましたか(笑)。
昨今のノウハウ本好き(含む私(汗))にとっては、なかなか耳イタイ内容でした。
また、新書のシリーズなのに、1冊1冊装丁が違うのが結構新鮮でしたね。
実はもう一冊買っており、現在読んでいる途中ですが、記事にするかどうか迷っているところです。
「耳イタイ内容」は自分もそうでしたが、そのような本はよい本が多いように思います。
装丁については言われて始めて気付きました(汗)。シリーズで一冊だけが突出して装丁が目立っていたので、他の違いは気付きませんでした。ちょっと「感性」が鈍っているかもしれません(笑)。