2008年05月18日
『霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」』
高橋 洋一著 2008年5月20日発行 735円(税込)
先日当ブログも紹介した『さらば財務省!』の著者である高橋洋一氏の新刊です。本書は新書でインタビュー形式もまとめられており、話し言葉でより読みやすくなっています。書き言葉にはない本音の部分も語られて、読み物としても面白くなっています。
インタビュー形式ですが、高橋氏が語られている部分がほとんどで、インタビューする方の存在感は少ししかありません。モノローグといってもよいほどです。各章のタイトルは以下の通りです。
- 「埋蔵金」とはなにか
- 国のお金はどう動くのかー財政編
- 国のお金はどう動くのかー金融編
- 公務員制度改革の闘い
- 国家は信じるな
以上の内容で、国のお金の流れが合理的な観点からわかりやすく語られています。高橋氏の話が面白いのは、官僚をされていて内部事情を理解した上で話をされているからです。その上に、理系的な思考があり官僚の答弁のような曖昧さもありません。明快な語り口が魅力ですが、それだけに官僚社会では浮いてしまうのかもしれません。
一般に日本の合理化・効率化というと、官で行っていることをいかに民に移行するかという視点で語られることが多いように思います。本書では、いかに官そのものを効率化するかという視点で話が進められています。そのあたりがとくに新鮮に感じられるので、高橋氏の話が世に受け入れられているのではないでしょうか。
なぜ官僚制度が合理化できないかということについても本書の大きなテーマになっています。よく言われていることですが、各省が自らの省益を主に考えて動いているから全体の効率が低下します。
省益と言われていますが、結局は個々人の利益です。官僚の方、とくにキャリアの方は優秀な人も多く、長時間労働をされています。その割には給料が高いわけでもありません。結局将来天下りなどで、自分の心の内部にある国に対する「貸し付け」を回収しようとしてしまうわけです。
公務員制度改革をされてしまうと、その「貸し付け」が回収できなくなります。もしも制度改革をするのであれば、そのあたりにも配慮する必要があるのではないでしょうか。すでに「貸し付け」が多くあり天下りで回収しようとしている方には、それなりのものを、これから「貸し付け」ができつつある方には、新たな負債が生じないように給与アップが望ましいと思います。
官僚の給与アップは国民感情としてなかなか受け入れがたいと思うのですが、そうしないために生じる莫大な非効率性を考えると、ある程度の合理性があるように思います。給与アップする代わりに天下りなしがスッキリしています。
また、「貸し付け」については金銭的なものだけではなく、名誉などもあることでしょう。それらについてもそれなりの配慮が必要です。
結局のところ、官僚の方が公務員改革についていろいろと理屈をつけて頑強に抵抗するのは、自分が損をするからでしょう。そのあたりを言葉に出さずに配慮して制度を変更すると、改革もスムーズになるのではないでしょうか。
官僚制度の仕組みを変更できるのは、国民の合理的な意識を高めることによってのみです。現在の官僚制度が非合理的・非効率的なのは、国民の内面の反映とも言えます。本書はそのことについて、多くの人に気づきを与えることができる本であると思います。








