2008年05月21日
『芸人学生、知事になる』
東国原 英夫著 2008年5月30日発行 800円(税込)
著者は東国原宮崎県知事です。本書は、2004年に出版された『芸人学生―僕が学びつづける理由』がほぼそのまま新書化されたものですが、15ページ程度のエピローグで、県知事になってからのことも付け加えられています。
著者は20年の芸人生活を経て、「不祥事」による謹慎をきっかけに早稲田大学の第二文学部に入学、その後政治経済学部に再び入学し、県知事となられています。
本書が書かれたのは、文学部を卒業して政治経済学部に入学した直後であり、本書のテーマは社会人として大学で学ぶことです。
本書を読むと、著者が極めて求道的な方であるということがわかります。芸人として仕事をしながら、勉強とマラソンを継続するその意志の強さには、社会人で大学への入学を考えている方であれば、大いに刺激をうけることでしょう。
著者が大学での勉強に目覚めたのは、「不祥事」による謹慎期間中に、精神的に追い詰められるような非常につらい思いをしたことがきっかけになっています。そのことがなければ、大学で勉強をすることもなく、そして現在の政治活動もなかったことでしょう。
そう考えると、人生においてなにがよいか悪いかははっきりと決めることはできません。人間万事塞翁が馬です。よしあしは単にその時の一時的な解釈に過ぎないのかもしれません。
本書を読んで感じるのはみずみずさです。ちょっとへんなたとえかもしれませんが、短時間昼寝をして目覚めた後に頭がすっきりしたような感覚があります。
自分のまわりにも社会人で学生をされている方はたくさんいますが、みなさん真剣です。目的意識がしっかりしていたり、純粋に学ぶことを楽しんでいる方が多いように思います。若くして学ぶのとは違った味わいがあるようです。
少子化で大学の経営が苦しくなると言われていますが、社会人が学ぶようになれば逆に活性化する可能性もあります。社会人も若い頃とは異なった学びが得られるメリットがあり、本書を読むとそのメリットがよく分かります。
社会人の学生を増やすためには、制度的な援助も必要です。税金についても勤労学生控除だけではなく、授業料を全額税額控除にできるくらいの制度改革をすればよいのではないかと思います。









