2008年06月04日
『経済で読む「日・米・中」関係』
田村 秀男著 2008年6月1日発行 798円(税込)
経済で読む「日・米・中」関係~国際政治経済学入門~ (扶桑社新書 31)
オレンジと黒の装丁に特徴のある扶桑社新書の新刊です。著者は日経新聞、産経新聞などに勤めている方で、過去にも国際政治経済についての著作があります。著者による『円の未来』というタイトルのペーパーバックは過去に紹介しました。
本書は産経新聞社が発行している日刊紙「SANKEI EXPRESS」に連載されているシリーズがまとめられたものです。今年の4月までの1年強にわたるコラムが集められたものですが、本書では以下のような章のタイトルごとにまとめられています。
- 貧しくなる日本人
- 通貨は警告する
- 危うい大国中国
- 漂流する超大国アメリカ
- 北朝鮮「核」の舞台裏
- 日本の運命握る「日・米・中」三角関係
- 危機の断面
タイトルにもあるとおり、日本と米国、中国との関係においての政治経済的な諸問題の分析についてがほとんどです。ところどころに著者が自らの人脈で米国の高官や中国共産党の幹部から話を聴いたエピソードがあり、そのあたりが前著と同じように面白いところです。
ただし、政治的な影響力が強い人物から直接聞いた話をヒントにしても、世界情勢がその話から予想されるように展開するかどうかはわかりません。なぜなら、情勢の展開はさまざま偶然に作用され、本質的にカオス的だからです。
株式投資において、その企業の経営者に話を聴いても必ずしも当てにならないことと同じです。むしろ当事者であるために、かえってわかりにくくなっていることもあります。
本書はコラムの集合ということもあり、全体としてまとまった統一感はあまり感じられないのですが、それだけにより現実の世界をうまく描写できているのかもしれません。
あまりにも統一的に説明されている内容は、現実から離れていることが多いように思います。株価の計算を理論的に計算しても、まずその通りにはなりません。そのような本は理論の形成過程を楽しむといった、また別の楽しみがあります。
本書は世界におけるアメリカ、中国との関係から日本を考察しています。アメリカと中国は世界における2大パワーですが、その両国との関係から日本を論じることができるのは、まだまだ日本にもパワーが残っていることを示しています。
本書は、国際情勢についてテレビや新聞の記事から一歩踏み込んで考えてみたいときによい本です。一歩踏み込んで考えるときの足がかりになるでしょう。








