2008年06月08日
『石油がわかれば世界が読める』
瀬川 幸一編 2008年4月30日発行 756円(税込)
ここ数日ニュースになっていますが、原油価格の高騰が止まらないようです。本書は社団法人石油学会のメンバーの方々によって書かれています。この団体は「1958年に設立された経済産業省による公益社団法人」で「石油関連の唯一の学術団体」だそうです。
世界的な資源価格の高騰や地球環境問題により石油関連のニュースは毎日のように目にします。石油関連の本もここ数年書店で目立つようになり、本書のような新書本も出版されるに至っています。
本書の特徴は、新書にしては化学的な記述が豊富なことです。石油についての化学的な知識を深められるのは本書のよい点ですが、興味がなければ読みづらいところでもあります。
エネルギー資源としての石油の優秀性についてもさまざまな角度から解説されています。安易な脱石油はかえって地球環境によくないことなどについても触れられています。
一般的に石油問題について理解されにくいのは、石油問題はさまざまな要因から成り立っているからです。化学的、経済学的、地政学的、歴史的、環境的、相場的な諸問題について学際的な理解が要求されます。
原油価格が変動しやすいのは、石油問題が理解しにくいという理由もあると思います。理解できないものについては、不安などから価格が変動しやすく、変動しやすさが投機資金をさらに流入させ価格変動のボラティリティを上昇させます。
理解しにくいことを市場が嫌うのは、サブプライム問題と同じです。本書を読んでさまざまな問題が存在することは理解できますが、一つ一つの問題はさらなる深みがあるので、正確に全体を把握するのは容易ではないと思います。
代替資源の候補や開発についても述べられていますが、現在のところ世界は石油を基本的なエネルギー物質として利用するようになっています。
ものごとを変化させることは何でもストレスになりますが、このエネルギーを石油に依存した構造をすぐに変化させることができないことに石油問題の難しさがあります。
原油価格が高騰していますが、原油価格の高騰は現在の世界の構造を変化させるようにうながす市場からのメッセージなのかもしれません。









