2008年06月14日
『いま、すぐはじめる地頭力』
細谷 功著 2008年6月20日発行 1575円(税込)
出版社は違いますが、『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』の続編ともいうべき本です。著者の本が出てから、「地頭力」という言葉は一般に広まりつつあります。
本書ではまず最初に地頭力診断があり、思考停止度、仮説思考力、フレームワーク思考力、抽象化思考力の4つのチェックシートに分けられています。その後、それぞれのチェックシートの項目についての詳しい解説が本書のメインになっています。
本書では「地頭力」について詳しく解説されていますが、抽象度が高い解説自体を理解するのに地頭力が必要とされるため、本書を読み進めること自体が地頭力を鍛える働きがあります。
前著でテーマになっていたフェルミ推定についても、終わりの方の章で例題とともに解説されています。フェルミ推定とは少ない情報から自分で仮説を組み立てて概算する能力です。本書には「日本全国に美容室は何軒あるか?」という問題が具体例として用いられています。
本書では述べられていませんでしたが、フェルミ推定は株式投資に役立つ能力であると思います。売り上げや長期的な成長の限界などを推定するのに役立ちます。逆に考えると、フェルミ推定の力を鍛えるには企業の業績について考えを巡らすことが役に立つでしょう。
本書で意外に面白かったのは、最後の質疑応答でした。地頭力を鍛えることについてのデメリットについて質問されていますが、以下のようなデメリットがあるとのことです。
- 性格が悪くなる場合がある
- 人に嫌われる場合がある
- 悩みが増える場合がある
- 飽きっぽくなる場合がある
- 注意力が散漫になる場合がある
- 失言が多くなる場合がある
いずれも自分で気をつけていれば防げることですが、地頭力はそれだけ強力であるということでしょう。お金を持つ場合の悩みと似ている点があります。自分で気をつければよいというのも同じです。
フェルミ推定の諸問題を解く能力は地頭力を鍛える上で重要な力であると思いますが、それよりも重要な能力があります。それは意味のあるフェルミ推定の問題自体を自分で作り出す力です。
適切な問題が設定できれば、問題のほとんどは解決できている場合が多いようです。問題は解く能力よりも作る能力の方がより貴重かもしれません。









