2008年06月25日
『日本人は世界一間抜けな美術品コレクター』
新美 康明著 2008年6月25日発行 1365円(税込)
日本人は世界一間抜けな美術品コレクター (Kobunsha Paperbacks 121)
ペーパーバックらしいセンセーショナルなタイトルですが、内容はしっかりと書かれています。ペーパーバックでは、媒体として著者の感情や思い入れが表現されやすいのですが、このタイトルには、日本の美術品業界に対する著者のやるせない思いが表れているのかもしれません。
著者は、以前は美術雑誌の編集者だった方で、現在は銀座で画廊を経営されています。本書は、世界の美術品市場の状況にも目配せをしながら、日本の美術業界をさまざまな観点から分析し、美術品に対する長年の思いと業界での経験に基づく提案をされています。章のタイトルは以下の通りです。
- アートの墓場
- テキトーに決められる美術品の価値
- 美術界にうごめく魑魅魍魎な人々
- なにがコレクターの魅力なのか?
- 投資としての美術品
- 戦略としての美術品
著者の考えでは、日本人は昔から繊細な感覚を有しており、美術的な感性はあるようです。それにもかかわらず、日本の美術品市場は衰退傾向にあり、市場の厚みがなくなっているようです。
もともとよいものを持っていながら、市場の厚みのなさにより本来のよさが十分に生かし切れていないため、タイトルの「世界一間抜けな」という表現になるのでしょう。
グローバリゼーションによって世界が均一化されてくると、美術品のようにその国の個性を表現できるものの重要性は逆に増してきます。それだけに、戦略性も必要なのでしょう。やはり一番重要なのは市場の厚みであると思います。
市場に厚みがあれば、芸術家も育ちやすくなります。著者が最も言いたいのは、美術品を鑑賞する審美眼を養いながら、戦略的に日本の美術品市場の厚みを増大させるべきであるということでしょう。
美術品で難しいのは、価値や価格を決めることです。同じ投資対象としても、株などの金融商品とは大きな違いがあります。一番の違いは、キャッシュフローの有無でしょう。金銭的に変換できる価値を定期的に生み出すかどうかです。本書でも株式と美術品の違いが書かれていました。
- 株は代替可能、美術品は代替不可能
- 株は市場で流動性が高い、美術品は低い
- 株は市場価格が決まっている、美術品ははっきりしない
少し話がずれますが、恋愛市場における男性の価値は金融商品的な側面と、美術品的な側面があります。若いほど美術品的な側面が、年を取るほど金融商品的な側面が重視されます。恋愛市場における男性の性質は、美術品と金融商品の中間にあると考えることができます。
上記の株と美術品の3つの違いを考えても、恋愛市場における男性は両者の中間の性質を有することがわかります。恋愛市場における価値は、金融商品的な側面と美術品的な側面に分けて考えると理解しやすいかもしれません。








