2008年06月26日
『悩む力』
姜 尚中著 2008年5月21日発行 714円(税込)
書店で売れ始めている印象を受けたので、購入して読んでみました。著者は政治学者の方ですが、本書の内容は著者の専門分野との関係はあまりなく、著者の人生論が語られています。
夏目漱石とマックス・ウェーバーの著作を引用しながら話が進みますが、どちらかというと漱石の比重が高いようです。本書のテーマがより漱石の小説のテーマと重なっているからかもしれません。
どのような「悩み」が本書のテーマであるかは、各章のタイトルによく表現されています。
著者は自分でも書いておられますが、本書にあるのは全体的に「若い」悩みです。悩む人であれば、10代の終わりくらいから20代の初めくらいにかけてよく考えるテーマです。そして働き始めると忙しくなるため、いつの間にか表層の意識に浮かびにくくなることです。
これらの諸問題はすっきりと答えが出るという性質の問題ではないため、考え続けていると苦しくなることがあります。時間的に余裕のある学生から忙しい社会人になると、精神的にかえって楽になることがありますが、忙しくなることによりこれらの問題が意識されなくなるからということもあるかもしれません。おそらくヒトはこれらの問題を考えることにより、短期的な幸福感を得られるようには進化していません。
本書で解説されているように、漱石の小説もこれらのことをテーマにしています。漱石自身がこれらのことをずっと考え続けていたためと思われますが、漱石は世間的な意味では決して幸福であるとは言えませんでした。
著者はこれらの問題は解決されなくても、まじめに考え続けることに意味があると述べられています。これらのテーマは青春時代に扱われやすいことを考えると、著者の心は常に青春時代なのかもしれません。
悩むことは力ですが、悩まないこともまた力です。悩む時期、悩まない時期は人生では一部重なり合いながら交互に訪れます。いずれも必要と思いますが、人によって割合や期間に個人差があります。
著者は悩む時期の長さが長いようです。それだけに、悩む時期を突き抜けて悩まない時期に入ると、大きな開放感があるかもしれません。谷深ければ山高しです。
本書が売れているのは、若い方にとっては暗中模索しているテーマについてずっと考え続けている人生の先達がどのように考えているかを知るため、年配の方にとっては昔考えたことのあるテーマを年齢が近い著者がどのように発展させているかを知るための参考になるからかもしれません。
格差が拡大した雰囲気のある時代背景のためか、小林多喜二の『蟹工船』が売れているようです。本書で扱われているように、漱石の小説もニートの方の心性に親和性があるので、形によっては見直されるかもしれません。
- 「私」とは何者か
- 世の中すべて「金」なのか
- 「知ってるつもり」じゃないか
- 「青春」は美しいか
- 「信じる者」は救われるか
- 何のために「働く」のか
- 「変わらぬ愛」はあるか
- なぜ死んではいけないか
著者は自分でも書いておられますが、本書にあるのは全体的に「若い」悩みです。悩む人であれば、10代の終わりくらいから20代の初めくらいにかけてよく考えるテーマです。そして働き始めると忙しくなるため、いつの間にか表層の意識に浮かびにくくなることです。
これらの諸問題はすっきりと答えが出るという性質の問題ではないため、考え続けていると苦しくなることがあります。時間的に余裕のある学生から忙しい社会人になると、精神的にかえって楽になることがありますが、忙しくなることによりこれらの問題が意識されなくなるからということもあるかもしれません。おそらくヒトはこれらの問題を考えることにより、短期的な幸福感を得られるようには進化していません。
本書で解説されているように、漱石の小説もこれらのことをテーマにしています。漱石自身がこれらのことをずっと考え続けていたためと思われますが、漱石は世間的な意味では決して幸福であるとは言えませんでした。
著者はこれらの問題は解決されなくても、まじめに考え続けることに意味があると述べられています。これらのテーマは青春時代に扱われやすいことを考えると、著者の心は常に青春時代なのかもしれません。
悩むことは力ですが、悩まないこともまた力です。悩む時期、悩まない時期は人生では一部重なり合いながら交互に訪れます。いずれも必要と思いますが、人によって割合や期間に個人差があります。
著者は悩む時期の長さが長いようです。それだけに、悩む時期を突き抜けて悩まない時期に入ると、大きな開放感があるかもしれません。谷深ければ山高しです。
本書が売れているのは、若い方にとっては暗中模索しているテーマについてずっと考え続けている人生の先達がどのように考えているかを知るため、年配の方にとっては昔考えたことのあるテーマを年齢が近い著者がどのように発展させているかを知るための参考になるからかもしれません。
格差が拡大した雰囲気のある時代背景のためか、小林多喜二の『蟹工船』が売れているようです。本書で扱われているように、漱石の小説もニートの方の心性に親和性があるので、形によっては見直されるかもしれません。
トラックバックURL
この記事へのトラックバック
1. 『悩む力』を読む [ ちくさ通信 ] 2008年08月12日 21:55
熱心なファンがいるらしい政治学者、姜尚中(カンサンジュン)の新著『悩む力』(集英









