2008年06月27日

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『ドット・コム・ラヴァーズ―ネットで出会うアメリカの女と男』5

吉原 真里著  2008年6月25日発行  819円(税込)

ドット・コム・ラヴァーズ―ネットで出会うアメリカの女と男 (中公新書 (1954))

アメリカのオンライン・デーティングについての体験記です。体験記といっても、本にするために試してみたといったようなものではなく、本格的な出会いや恋愛を求めて体験されたことが書かれています。

本書はいくつかの点において貴重な本ですが、一つには著者がアメリカの大学において人文系の教授をされており、体験の解釈と自分の心の分析がなされているところに価値があります。



日本において男女がネットの紹介サイトで知り合うことは、以前よりはイメージがよくなってきていると思いますが、まだどこか後ろ暗いイメージがあります。しかしながら、アメリカでは男女が知り合うための一つのきちんとした手段として認知されているようです。

10人以上の男性との具体的なやりとりが書かれており、事例集としての色合いが強くなっていますが、恋愛を語るには事例的に語ることがよい方法なのは、治療を語るのに症例集が有用であることと似ています。

著者は開放的な方のようで、行為についての具体性はありませんが、性的な事柄についてもかなりストレートに書かれています。

アメリカでのオンライン・デーティングの体験が日本人女性でアメリカの大学教授によって書かれているという点では、本書は非常に特殊な事例集とも言えるのですが、以下のように一般的な恋愛のポイントを読み取ることができます。恋愛において大事なことはどこでも本質的な違いはないようです。

  • 価値観が似ていること

価値観が似ていることは重要なようです。とくに本書では経済的な価値観について重視されていました。年収などが高ければ高いほどよいわけではないのは、著者が独立した女性として仕事をされているということがあるのでしょう。

  • よい雰囲気で美味しい食事を提供できること

料理批評家の男性についての話が出てきますが、男性が料理するにしても、美味しい店を知っているにしても、やはり美味しい食事やその情報を提供できることは大事なようです。男性のもともとの役割が食料を提供することにあることを考えると納得できます。

  • ユーモア、機転

当意即妙な機転が利くと女性は魅力を感じますが、著者の場合はふだんから文章を書く仕事もされているだけあり、文章においても気の利いた表現がされていることなども重視されているようです。

  • マメで細やかな気遣い

本書には友人として、ゲイの男性との交流が出てきます。最近は男女の差が少なくなってきており、男性にも女性的な細やかな気遣いが必要とされてきています。

  • 自分を理解してくれること

相手が内面において重視することを理解することです。「価値観が似ていること」とも似ていますが、生活レベルのみならず、より特殊で個別の仕事や趣味に関係するものです。著者は研究者なので、マイナーな研究領域について相手の男性の理解が得られると評価が上がっているようです。

  • 相性のよさ

本書にもあるように、英語ではchemistryです。これはオンライン・デーティングで知り合った後、リアルでの関係に移行するときに重要です。

  • 相手が近くにいること

「遠距離恋愛」といったようなものは、ヒトの進化の歴史においては存在しなかったはずです。遠距離恋愛は脳内恋愛的な要素があり、ヒトには遠距離恋愛をしてまで関係を続けていくように本来はできていません。逆に考えると、身近な人を好きになりやすいようにできています。

  • ある程度の容姿

これは著者の人生経験が豊富なこと、内面的な部分を重視されていることなどがあるように思います。ただし、外見における一定の水準は必要なようです。

  • 住居の状態

男性の住居がどのような状態かは気になるところです。これは将来一緒に暮らす場合の生活環境と結びつくからです。本書でも男性の住居を訪れるエピソードが出てきます。

  • 仕事

女性に収入があまりなければ、仕事については経済的要素が気になるところですが、本書では著者に収入があり、知的労働をされているため、仕事については収入面以外の部分に関心の焦点があるようです。

以上をまとめると、本書において魅力があると描かれているのは、近くにいて、価値観が似て相性がよく、自分に対して理解があり、マメな気遣いができ、外見にある程度配慮し、頭がよく、納得がいく仕事をしており、よい食事と住居を提供できる男性です。女性に収入があまりなければ、よい食事と住居は経済力に置き換えて考えるとよいでしょう。

一見特殊に思える本書の事例集ですが、結局多くの女性が男性に求めるものが抽出されます。国や文化の違い、そして女性の個人差によって、表現される形に違いはありますが、女性が男性に求めるものは長年の進化において形成されてきたので、本質的に大きな違いはないようです。



investmentbooks at 17:13│Comments(0)TrackBack(1)clip!本--男女関係 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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