2008年06月28日
『株価が動くとどうなるか』
角川 総一著 2008年6月22日発行 1575円(税込)
同じ著者のシリーズとして、『金利が上がるとどうなるか』『為替が動くとどうなるか』があります。いずれも「時代即応版」と銘打ってあります。金利の本は「時代即応版」でない版がありますが、為替と株価は「時代即応版」のみです。
「時代即応版」だけあって、現在の経済の状況に合わせて書かれており、データも新しいものでは、今月のものが使われていることもあります。全般的にやさしく書かれており、初心者向けの内容です。
- 変わりつつある? 株式のキホンのキホン
- 株式市場に登場するさまざまなプレーヤーたち
- 株は何に動かされているか
- 株価が下がるとどうなるか
- 教科書に載っていない株式の新常識
以上は章のタイトルです。本書が今までの本と違う点は、今までの本は「何が株価を動かすか」でしたが、本書では「株価が動くとどうなるか」です。
視点が今までの本とは逆なわけですが、経済と株価は因果関係がはっきりせず一体となって動くため、「何が株価を動かすか」について理解できている方であれば、本書の内容には本質的な新しさは感じられないかもしれません。
おそらく業界の方にとっては常識なのでしょうが、個人的にはいくつか参考になる話もありました。
- 「ここ20年の金融制度の改革等で、個人の金融資産は預金から投資に向かうとさかんに喧伝されたが、現在のところ、株価の水準を考慮したうえで個人の株式保有量を計算すると、実質的にはほとんど増えていない。」
これはやや以外でした。ネット証券の口座も増えて、投資人口も増えているように思うのですが、どうやらそうでもないようです。
- 「国内で運用される投資信託が73兆円と販売額を伸ばしているが、実際に日本株に投資している額はそのうちの12兆円あまり、つまり16%に過ぎない。」
考えてみたら投信は日本の株だけで運用されているはずがないのですが、なんとなくほとんどすべてが日本の株で運用されるようなイメージがありました。数字が具体的でわかりやすいです。投信のうち日本株運用されているのは、全体の六分の一と考えればよいようです。
- 「日経平均株価が1000円下がると、日本の株式市場から6兆円の資産価値が奪われる計算になる。つまり4200円下がると、日本国民一人あたり25万円の含み資産を失ったことになる。」
これも数字が具体的で興味深いです。国民全員が1ヶ月間ただ働きをしないといけないくらいの数字ですね。
その他、為替、金利、経済指標、株価指数、外国人投資家、企業業績、生命保険、国債、格差、インフレ、アノマリーなど株価と関連するだいたいのことについては、簡単にですが網羅されています。
だいたい瞬時に市場に織り込まれてしまう材料なので、直接は利益に結びつかないかもしれません。初心者向けの本なので、市場についてある程度の理解がある方には物足りないかもしれませんが、経済と株価のさまざまな点での関連についてより理解しやすくなる本です。









