2008年06月30日
『地価はまた下がる』
井上 明義著 2008年7月7日発行 1365円(税込)
3年前に『土地の値段はこう決まる』という本を書かれている著者の新刊です。3年前に書かれた本は英語版が出版され、中国語版も出るかもしれないことのことで、国際的な評価も高いようです。このブログを始める前に読んだ記憶があります。
著者は不動産鑑定業界に長年いらっしゃる方で、業界では有名な方のようです。本書の内容はタイトルの通りなのですが、その理由をさまざまな観点から解説されています。著者は日本のバブルの時にも、バブル崩壊を予言されていたそうです。
本書は不動産のマーケットに興味がないのであれば、決して面白く読める本ではありませんが、著者の会社のオリジナルのデータや長年の業界の経験を元にして内部の実状を書かれているため、不動産の動向に関心があれば役に立つと思います。
また日本の不動産市場の市況については、日本経済の先行きや株式市場にも関係が深いため、株式投資をする方であれば関心があるのではないでしょうか。
ここ数年の不動産マーケットの活況については、今までの日本不動産市場の歴史を振り返りながら、本書では「ブランド街ミニバブル」と名付けられています。今後の日本の地価については、さらに長期的に下落すると予測されていますが、根底に人口減少による実需の減少を理由として挙げています。
本書からは不動産鑑定の複雑さや難しさが伝わってきます。株式と違って、不動産は一つ一つの物件の固有性が強いため、市場における適正な価格形成メカニズムも働きにくいようです。
業界の方が書かれた本は、内部事情をよく理解されているだけに、冷静で悲観的になりやすい傾向があります。バブルはその対象をよく知らないことによる期待から生じることを考えると、どうしても業界の方は全体からするとやや悲観に傾きやすいようです。そして悲観の方が実際に近いようです。
結婚を考えるとわかりやすいかもしれません。既婚者は内部事情をがわかっているため、結婚についてはやや悲観的になりがちです。未婚者は結婚については期待を持ちます。実際はやや悲観的な見方が現実に近いかもしれません。
無知の期待と既知の悲観のはざまに現実は展開します。無知の期待は物事を進めるために必要ですが、悲観的な現実に収束します。グリースパン前FRB議長も言っているように、バブルを防ぐのは難しいようです。
しかしながら、適正な価値を算定するのが難しいにしても、価値をしっかりと評価をするという姿勢を続けることは重要です。サブプライム問題も、証券化商品の格付がある程度できていれば、現在のような大きな問題にはならなかったはずです。不動産鑑定はもっと注目を浴びてもよいのかもしれません。









