2008年07月04日
『セックスレスキュー』
大橋 希著 2008年7月1日発行 500円(税込)
書影がありませんが、新潮文庫の新刊です。2年半前に出版されたものが文庫化されています。本書はキム・ミョンガン氏が主催する相談所「せい」を軸にしてまとめられたルポタージュです。
「せい」は男性ボランティアからなる「せい奉仕隊」により、セックスレスなどに悩む女性にカウンセリングやセックスを提供し、性的に満たされない女性の悩みを解決する組織です。各章のタイトルから、本書の大まかな内容がわかります。
- セックスレス相談所「せい」
- セックス小国日本の現状
- キム・ミョンガンとは何者か
- 性の奉仕隊という組織
- 奉仕隊を利用した女性たち
- さまざま選択肢
- 隊員たちの本音
「せい」という組織のとらえ方は、人の性に対する考え方により賛否両論があるとは思いますが、長年存在していることから社会的な需要があるのは確かです。
キム・ミョンガン氏は『恋愛の基礎』などの数多くの著作があり、アダム徳永氏がブレイクするまでは、セックスについて本質的な視点から書かれている一般向けの本の著者としては真っ先に名前が思い浮かぶ方でした。ちなみに分量は少ないのですが、本書では現在のように一般的に有名になる以前になされたアダム徳永氏の取材についても少し記述があります。
キム・ミョンガン氏もアダム徳永氏両者とも、セックスについて皮膚感覚を重視するところ、気のエネルギーの交流の視点を重視するところなど本質的には似ています。しかしながら、キム・ミョンガン氏はアダム徳永氏ほど一般の人にはブレイクしませんでした。両者の違いはどこにあるのでしょうか?
セックスを語る場合、男性が一般的に興味があるのは具体的なテクニックであり、女性が一般的に興味があるのはセックスと「愛」をいかに調和させるかです。男女の興味については、一方の関心を強調すると他方から受け入れられにくくなりやすいのですが、アダム徳永氏は男女間で対立しがちな男女の関心それぞれを徹底させつつ止揚させました。そのあたりが両者の違いであるように思います。
本書で詳しく書かれている「せい」の活動などは、意義があるとは思うのですが、男性が「せい奉仕隊」として参加するにしても、女性が利用するにしても、一般的にはややハードルが高いと思います。実際に利用するよりも、女性が「せい」の存在を知ることにより、悩んで苦しんでいるのは自分だけではないという慰めを得る意味合いの方が大きいかもしれません。








