2008年07月08日
『次のグローバル・バブルが始まった!』
山崎 養世著 2008年7月30日発行 1365円(税込)
著者はゴールドマン・サックスから独立してシンクタンクを設立されている方です。「高速道路無料化」を提言されていることでも有名です。 『米中経済同盟を知らない日本人』は過去にこのブログでも紹介しました。『大逆転の時代―日本復活の最終処方箋』も最近文庫化されたばかりです。
本書では、サブプライム問題収束後のグローバル・バブルについて予測されています。バブルが起こる理由としては、BRICsなどの新興国経済が急速に成長しているためとされています。
サブプライム問題についての解決策はわかっており、あとは公的資金注入のタイミングなど政治的な折り合いが主な問題で、過去の経済危機と比べても一般的に言われるほど恐るべき問題ではないそうです。
サブプライム問題は今のところはせいぜい100兆円規模の問題ですが、世界全体が協調的に解決に対して足並みをそろえており、世界全体のGDPである4000兆円弱からすると100兆円はたいした金額ではないのかもしれません。
またバブルが生じる要因として、アメリカの金利低下による円キャリーならぬ「ドルキャリー」が今後は見られるようになると書かれています。低金利のドルが世界中の株や商品などに向かいそうです。インフレと資産インフレが起こり、いずれにしろマネーの価値は低下しそうです。
日本が向かうべき方向性については、金融立国と環境関連の技術を強調されています。
本書を読んで印象に残るのは、新興国と資源国の成長エネルギーです。BRICsの中でも類書と異なり、投資対象として日本人には比較的馴染みのないロシアやブラジルについての記述があります。
今までもそうですが、著者の本は全体的に読みやすく書かれています。本書からは、世界経済が現時点でも発展しているというダイナミズムを感じることができます。本書に書かれていることが正しいとすると、現在下落している中国株などは買い場なのかもしれません。