2008年07月10日

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『マネーの未来、あるいは恐慌という錬金術』4

松藤 民輔著  2008年7月10日発行  1680円(税込)

マネーの未来、あるいは恐慌という錬金術──連鎖崩壊時代の「実践・資産透視学」

松藤民輔氏の新刊です。このブログでは最近の著者の本はすべて紹介しています。本書は発売されたばかりですが、早速紹介します。本日の時点で、アマゾンではまだ予約しかできない状態です。

本書は著者の本を読まれたことがある人であれば、本質的には新しいことは書かれていないと感じるかもしれません。今のところは、過去に著者が書かれていたように世界のマーケットが展開しているので、本書は経過報告的な意味合いが強くなっています。



本書の最初に著者の主張が簡潔にまとめられているので、以下に書きます。

  1. サブプライム問題は、まだ片づいていない
  2. 金融機関の倒産はこれからが本番
  3. ドルの転落
  4. 原油高、資源高、食料高のトリレンマ(三重苦)が始まる
  5. 「有事のドル」の伝説崩壊

最近はサブプライム問題は解決に向かっているとの認識も出てきましたが、著者によると、今はまだ金融恐慌の入り口にすぎないということです。2025年までは金と金鉱株の独歩高と書かれています。

著者は金鉱山のオーナーなのでポジショントークは割り引いた方がよいと思いますが、そのように思われていたからこそ現在のポジションを取られているのでしょう。

現在は有料になってしまった著者のブログですが、過去の記述からは、テクニカルな分析では必ずしも常に著者の読みが当たってはいない印象を受けました。テクニカル分析がすべて当たることはありませんが、チャート分析に基づく著者の相場観は参考になります。

以前の本にも書かれていますが、著者の中国に対する評価は低いようです。好き嫌いの要素もあるのかもしれません。また、中東の産油国についても厳しく書かれています。日本については、エネルギー効率の高さや国民の勤勉さを評価されています。

著者が書かれているようにこれから金融恐慌が起こるかどうかはわかりません。サブプライム問題は解決はしていませんが、現在解決の途上の半分くらいのところにいるように思います。

少し前までは、投資銀行による兆円単位の損失が明るみに出るたびに市場が動揺していましたが、最近は損失に皆が慣れてきているような印象があります。

評価損により兆円単位で自己資本が減っても、国富ファンドが出資し、最後の最後にはアメリカが公的資金を注入することも期待されるため、以前ほどの危機感が無くなってきていることは確かです。流動性の供給についても、世界の中央銀行の介入により心配が少なくなっています。

状況としてはまだまだ予断を許さないと思うのですが、未知の部分が少なくなっているだけ、初期の頃のパニック的な反応は少なくなっています。

今後新たなパニックが生じるとすれば、アメリカのリセッションがひどくなることにより、プライムの住宅ローンにまで問題が生じきそうな場合でしょう。

以前本ブログで紹介した著者の本

アメリカ経済始まりの終わり

世界バブル経済終わりの始まり

無法バブルマネー終わりの始まり

脱・金融大恐慌1993-2008



investmentbooks at 22:43│Comments(2)TrackBack(1)clip!本--世界経済 

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1. 引用テスト  [ SHINOBY'S WORLD(portaltest) ]   2008年07月17日 15:13
引用テストは続きに。...

この記事へのコメント

1. Posted by KT   2008年07月11日 15:51
サブプライム問題はまだ終わっていないんですね。
「次のグローバル・バブルが始まった」では終わったとか書かれていたように思います。
あと、「洗脳支配」という本では、そもそも損失が金融機関になかったと書かれていたように思います。
本を読めば読むほど、訳が分からなくなります。
まぁ、「洗脳支配」という本は、よく理解できませんでしたが。
どの本もこのブログで紹介されてますよね。
bestbookさんはどう思いますか?この本含めて3冊を読んでみて。(「マネーの未来、あるいは恐慌という錬金術」と「次のグローバル・バブルが始まった」と「洗脳支配」の3冊)
ちなみに自分は「洗脳支配だけ、きちんと読みました。
松藤さんの本はこれからです。
「次のグローバル・バブル〜」は未読です。
目次と立ち読みで済ませました。
宜しくお願いします。
2. Posted by bestbook   2008年07月12日 01:01
KTさん、コメントありがとうございます。

長くなりましたので、記事として返答させてもらいます。

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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