2008年07月12日

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KTさんの質問に答えて

KTさんより、本ブログで紹介した以下の3冊の本について、コメント欄で質問をいただきました。コメントの返答では字数オーバーになるので、記事にしてお答えします。

『マネーの未来、あるいは恐慌という錬金術』

『次のグローバル・バブルが始まった!』

『洗脳支配』



「サブプライム問題はまだ終わっていないんですね。
「次のグローバル・バブルが始まった」では終わったとか書かれていたように思います。
あと、「洗脳支配」という本では、そもそも損失が金融機関になかったと書かれていたように思います。
本を読めば読むほど、訳が分からなくなります。
まぁ、「洗脳支配」という本は、よく理解できませんでしたが。
どの本もこのブログで紹介されてますよね。
bestbookさんはどう思いますか?この本含めて3冊を読んでみて。(「マネーの未来、あるいは恐慌という錬金術」と「次のグローバル・バブルが始まった」と「洗脳支配」の3冊)
ちなみに自分は「洗脳支配だけ、きちんと読みました。
松藤さんの本はこれからです。
「次のグローバル・バブル〜」は未読です。
目次と立ち読みで済ませました。
宜しくお願いします。」

日々報道されていることからもわかるように、サブプライム問題はまだ実際には収束していません。

「次のグローバル・バブルが始まった」では、著者が金融の先読みができる方なので、著者の内部では問題が終了したように思われているのだと思います。

もしもすぐにサブプライム問題を収束させたいのであれば、アメリカ政府がサブプライム関連証券を買い上げるか、投資銀行に公的資金を数十兆円単位で注入すればよいのですが、現実的には国民感情からして困難です。

日本のバブル崩壊の時も、銀行に公的資金を注入する話は早くからありましたが、国民感情が許さないため見送られ、問題の解決まで10年以上かかりました。

日本の失敗例はアメリカの指導層も知っているので、なるべく早く公的資金を注入したいはずです。しかしながら、潤いに潤った投資銀行を税金で救うのは、過去の日本と同様に、すぐには国民感情が許さないでしょう。

おそらくアメリカの指導層は本音では、恐慌にならない程度、そして国民が公的資金を注入しなければどうしようもないと切迫感を抱く程度に経済が悪くなり、「仕方なく」公的資金が注入できる状況になればよいと思っているはずです。

解決の方法はわかっているけれども、解決方法を実行するための納得が得られないという状況のため、解決しているといえば解決していますし、解決していないといえば解決していません。

一番心配なのは、公的資金を注入するために皆が納得できる状況になるまで日本のように10年以上かかって不景気が長期化したり、何らかのきっかけで公的資金を注入するまでに皆がパニックになって本当に恐慌に間違ってなってしまうことです。ですので、松藤氏の書かれているシナリオも完全に否定はできません。

「洗脳支配」に書かれているのは、銀行は信用創造でマネーを創り出しているので、もともとなかったマネーを失っても銀行は痛くも痒くもないという考え方です。ブログにも書きましたが、これはやや書きすぎのように思います。

信用創造で創り出したお金でも、損失は自己資本の部分から引かれますので、実際に損をしていることになります。信用創造で創り出した銀行の損失も、一般企業の損失と変わりありません。

マネーの存在は人間の約束と思い込みが成り立たせているので、究極的には金融機関の損失はないという考え方もあるかもしれませんが、そうなると現在存在しているマネーも存在しないことになります。

信用創造によって創り出されたマネーの損失は、信用がなくなればマネー自体の存在も否定されるので、マネーの損失も当然なくなりますが、信用がある限りは損失も存在します。信用だけがあって信用創造されたマネーの損失だけがないということはありません。

よって3冊の本の個人的な結論は以下のようになります。

「次のグローバル・バブルが始まった」・・・サブプライム問題の解決方法がわかっているという意味では問題は解決しているが、解決の方法が実行されておらず、場合によっては解決できなくなる可能性もあることを考えると、完全に解決しているとは言い切れない。

「マネーの未来、あるいは恐慌という錬金術」・・・場合によっては世界がパニックを起こすことをきっかけに著者の予測が現実化する可能性もある。よって完全に正しくないわけではない。

「洗脳支配」・・・マネーは人間の心が創り出しているため、究極的には実体がないという考えは正しいが、信用創造によって創り出されたマネーの損失は存在しないという考えは部分的にしか正しくない。



investmentbooks at 01:11│Comments(1)TrackBack(0)clip!つぶやき--その他 

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この記事へのコメント

1. Posted by KT   2008年07月13日 08:03
今回の説明、かなり分かりやすかったです。
bestbookさん、ありがとうございます。

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bestbook
家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
このブログについて
2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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