2008年07月14日
『ジェネラルパーパス・テクノロジー』
野口 悠紀雄/遠藤 諭著 2008年7月10日発行 780円(税込)
ジェネラルパーパス・テクノロジー 日本の停滞を打破する究極手段 (アスキー新書 70)
タイトルの「ジェネラルパーパス・テクノロジー(GPT)」は一般目的技術、汎用技術と訳されるようです。タイトルからは本書の内容はわかりにくいのですが、それよりも野口悠紀雄氏とアスキー総合研究所所長の遠藤諭氏の共著という情報の方が、本書の内容の想像がつきやすいと思います。
前書きに本書の三つの主張が書かれていますが、第一の主張だけを書けば、本書で著者達が述べたいエッセンスは伝わると思います。
「新しい情報通信技術であるITは、GPT(一般目的技術、汎用技術)であるために、組織や社会の構造と関係がある。ある種の社会組織は、ある種のGPTと不適合であり、社会組織の大きな変革がないと導入できない」
この一文に本書のエッセンスが詰まっています。本書の内容のほとんどは、この一文を具体的に説明することです。蛇足ですが、「ある種の社会組織」とは日本社会のことであり、「ある種のGPT」とはITのことです。
今までにも野口氏が繰り返し述べられてきたことですが、遠藤氏が加わってITの歴史を俯瞰することにより、より具体性を帯びた内容に仕上がっています。ただし、新書の解説なのでITに詳しい方であればほとんど既知のことかもしれません。
野口氏の時代観として、IT革命は産業革命に匹敵するような産業構造の転換を促す革命であり、今はその大きな革命の途上であるという見方があります。アメリカなどと比較して、日本はその時代の変化の流れに乗り遅れつつあるのでもう少し危機感を持つべきであるという主張です。
個人的な予想としては、日本は出遅れていますが、おそらく国全体がIT促進の流れになると一気に本当の意味でのIT化が進むのではないかと思います。本書のような内容の本が新書として出版されているのがその兆しです。日本が本当に遅れてしまうようならば、本書のような本すら出ないことでしょう。
ただし将来的にIT化がうまくいったとしても、本書の後書きで重要であると述べられている「多様性と柔軟性」を日本が持つようになるかどうかは、また別の問題です。日本がIT化を完了させた頃には、また新たな事柄が出現していることでしょう。その新たな事柄が日本から生じない限りは、たとえITがうまく導入されたとしても、根本的な構造が変化したとは言えません。








