2008年07月18日
『空気のトリセツ』
指南役著 2008年7月10日発行 1365円(税込)
ホイチョイ・プロダクションズのブレーンも務めるエンタテインメント集団「指南役」の新刊です。本ブログでは以下の2冊の本も過去に紹介しました。
表紙が統一されていて一目でシリーズとわかります。過去の2冊は扶桑社から出ていますが、今回はポプラ社からです。表紙だけ見ると、同じ出版社から出ている本と思ってしまいます。
本書のテーマは「空気」であり、今までの2冊の本と比べて内容に統一感があります。本書の最初に以下のように書かれています。
「原因は、すべて空気です。
重苦しい会議も
ブログが炎上するのも
遠距離恋愛が壊れやすいのも
空いている改札を避けるのも
ガソリンスタンドが反対車線にあるのも
---すべて空気のしわざ。」
すべてが空気のしわざかどうかはわかりませんが、空気をキーワードに世の中の現象や時代の流れを読み解くコンセプトになっています。
本シリーズはセンスのあるイラストも楽しみなところですが、今回は全2作よりもイラストの量が多くなっている印象を受けました。
「KY=空気読めない」は最近の流行語です。KY関連本もよく売れていますが、昔に比べて空気を読むことの必要性が高くなっているためです。
空気が読めない人は昔からいくらでもいました。かなり空気を読めない人は、「あの人ちょっと変わってるから・・・」などと言われていましたが、それなりに暖かく受け入れられていたように思います。しかしながら、最近は空気が読めない人は排除される傾向にあります。
理由として考えられるのは、時代が女性化していることがあります。男性のコミュニケーションは話の内容を中心に進みますが、女性のコミュニケーションは場の空気を察知しながら進行します。
昔は今ほど男性に空気を読む力が必要とされていませんでした。男は男性的であることが求められており、あまりしゃべらなくてもよく、場合によってはしゃべらない方が男らしいと思われることがありました。
ところが最近では、男性も女性的になる必要があり、男女間でも「わかり合う」ことが求められています。男女間でわかり合おうとすると、「わかり合う」ということ自体が女性的なことなので、どうしても男性が女性的にならざるを得ません。
空気を読む女性的な能力については、男性では個人差が大きくあります。昔は空気少々読めなくても、許されていましたが、最近では空気を読めないことに対する許容範囲が小さくなってきています。
よって本書のような本が出てくるわけです。無意識にできないことは、意識的に身につけるしかありません。男性は意識して女性的にならないといけないので、男性にとってよりいっそうの努力が必要な時代になっています。