2008年07月31日
『世界一利益に直結する「ウラ」経営学』
日垣 隆/岡本 吏郎著 2008年8月12日発行 1470円(税込)
作家・ジャーナリストの日垣隆氏と経営コンサルタント・税理士の岡本吏郎氏の対談です。本書の出版元はアスコムですが、同社の岡本吏郎氏と小山昇氏の対談本『儲かる会社の社長の条件』は以前に紹介しました。本書にもちょっと出てきますが、アスコムのホームページからは、同社が経営的に大変な時期を過ごされたことがわかります。
対談者お二人による前書きと後書きから、両者の組み合わせは成功であったことがわかりますが、お二人の感想がなかったとしても、内容から両者のマッチングは有意義であったことがわかります。
各章のタイトルは以下の通りです。
- 《間違いだらけの会計常識》だからあなたは儲からない
- 《価格常識のウソ》安売りは自分の首を絞めるだけ
- 《資産づくりの勘違い》財産と思ったら負債だった!?
- 《かけ算の経営戦略》衰退産業にこそチャンスが眠っている
- 《経営者の資質》この社長なら会社は安心か?
- 《ビジネスの落とし穴》格差社会で抜きん出るには
お金や経営、とくに中小企業の経営について幅広く語られていることがわかります。両者の呼吸が合っているためか、途中でどちらが発言されているかわからなくなることがあります。
両者の呼吸が合ったのは、お二人とも自営の感覚があること、考えることがお好きなこと、お互い会いたがっておられたことなどがあるようです。売れ行きによっては、続編が出る可能性が高いのではないでしょうか。
『会社にお金が残らない本当の理由』や『あなたの会社にお金が残る 裏帳簿のススメ』などの岡本吏郎氏の本を読まれた方には、どこかで聞いたことがある話も多いのですが、新しい話としては、ネットでのビジネスやクレームの対処法について氏の考え方を知ることができます。
対談なので本では出てきにくいこぼれ話的な内容が豊富で、そのあたりも本書の読みどころです。経営やビジネス戦略の具体的な数字も興味深く読めました。
対談の最後は岡本氏の以下の発言で終わります。
「ビジネスやお金を肴にしてここまでいろいろな話をさせていただきましたが、日垣さんとの対談で一貫して流れていたテーマは、理想から現実を見るのではなく、現実を直視した変化を行うことだったように思います。」
経営における現実を直視して変化することを重視されており、本書全体を流れるテーマです。おそらくお二人のもっとも共通する部分もそのあたりにあるのでしょう。
本書は経営についての本ですが、勤め人でも自営的な感覚が必要とされる時代なので、ビジネスパーソンであればほとんどの方に役に立つ本であると思います。対談なので、読んでいて肩が凝りません。