2008年08月07日

この記事をクリップ! Yahoo!ブックマークに登録 このエントリーを含むはてなブックマーク

『お金を知る技術 殖やす技術』4

小宮 一慶著  2008年8月30日発行  756円(税込)

お金を知る技術 殖やす技術 「貯蓄から投資」にだまされるな (朝日新書 126)

本ブログではたびたび著書を紹介させていただいている、経営コンサルタントの小宮一慶氏の新刊です。いままで紹介した本は、ビジネスの現場におけるものの考え方の本がほとんどですが、本書は資産運用と金融の本になっています。

現実的・合理的なものの考え方をされる著者が、資産運用や金融においてどのような本を書かれているか、楽しみにして読み始めました。著者のもともとの仕事は金融関係なので、本書の内容は本領発揮といえるのかもしれません。



章のタイトルは以下の通りです。

  1. 経済の大きな流れをつかむ
  2. 「攻めるお金」と「守るお金」
  3. 「日本人は株嫌い」のウソ
  4. 損得は「時間軸」で見る
  5. 必要なお金をざっくり計算してみよう
  6. 「投資の達人」への3ステップ
  7. まず「金利」を理解して味方につけよう
  8. 「守るお金」はこうして殖やす〜預金・国債・・・
  9. 良い投資信託、悪い投資信託の見分け方
  10. 株式は「気に入った銘柄」を「長期保有」で

ほとんど資産運用や金融の知識がない人向けの話から、専門的な論文の解説まで、幅広い内容が扱われています。各章の終わりにはポイントが簡潔にまとめられており、まとめとしてわかりやすくなっています。

「守るお金」「攻めるお金」という言葉がよく出てきますが、リスク管理をしっかりすることをわかりやすく表現されているようです。ダウンサイドリスク(最大限の損失)を重視されているところは、実際の企業経営の経験による影響と思われます。最近の倒産の頻発を見ていると、企業も個人と同じように、まずは生き残ることが第一であると感じます。

住宅については、現在は持ち家がよいと書かれていますが、賃貸をすすめることが多い一般の資産運用本と違いが目立ちます。これもダウンサイドリスク重視から来ているようです。現在は金利が低く、ローンの返済が終わった家さえあれば、生活費が少なくなっても生活ができるため、老後のリスクが少なくなることに拠ります。

著者がどのような金融サービスを利用されているかということも、少しですが具体的に書かれており、興味深く読むことができます。

また、現代におけるマクロ経済的な視点についても触れられており、著者が現在の世界経済の状況について、どのように考えておられるかも知ることができます。

広い意味では、本書も著者が得意とされるものの考え方についての本と言えます。金融リテラシーの基礎を身につけるための本として、バランスよくまとまっている良書です。

本ブログで過去に紹介した著者の本

『M&A大再編で消える会社、伸びる会社』

『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』

『「1秒!」で財務諸表を読む方法』

『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』

『明日から「仕事ができる」と言われる新・目標達成法』

『ビジネスマンのための「解決力」養成講座』



investmentbooks at 23:06│Comments(2)TrackBack(0)clip!本--投資一般 

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by えふ   2008年08月07日 23:24
bestbookさん、こんばんは。
本書の違いとして挙げられている持ち家を薦める
という点はたしかに他の類書と違うかもしれない
ですね。でも、現在の金利ではそのほうが有利というのは
なるほど、と思いました。
興味深い内容ですね。
2. Posted by bestbook   2008年08月08日 23:56
えふさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

賃貸が合理的であると書かれている本が
多いため、本書の内容はかえって新鮮でした。

本書の著者の持ち味がよく出ている記述です。
一般と逆の視点が参考になりますね。

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
プロフィール
bestbook
家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
このブログについて
2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
ブックマークに登録
このブログをソーシャルブックマークに登録
このブログのはてなブックマーク数
アマゾン検索
月別アーカイブ
QRコード
QRコード
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ