2008年08月09日
『米国発世界不況で日本はどうなる!?』
竹森 俊平/中岡 望/岩崎 博充/イェスパー・コール/小宮 一慶
井上 久男/宮尾 攻/熊野 英生/藤澤 雅夫/山崎 元
服部 哲也/菊池 正俊著 2008年7月18日発行 1260円(税込)
洋泉社MOOKの新刊です。MOOKは雑誌のMAGAZINEとBOOKを合わせた形態の本ですが、実質的には雑誌です。本ブログでは雑誌は原則として紹介していないのですが、本MOOKは執筆陣が豪華なので紹介させてもらいます。
12名の著者の方たちによって書かれており、そのうち半分くらいの著者については過去に本ブログでそれぞれの本を紹介したことがあります。それらの著者の方々が、サブプライム問題に影響を受けている現在の世界経済についてどのように考えているかを知ることができます。
本書は大きく3つの部分に分けられています。
- 不透明な今後を見通す
- 日本の実体経済はどうなるのか
- サブプライム後の投資戦略
多くの著者によって書かれているので、全体的に統一はされていませんが、それだけに現実の経済の雰囲気に近くなっていると思います。そのような意味においては、統一されていないことでバランスを取っている本です。
どちらかというと悲観的な論調が目立ちますが、そのことも今の雰囲気がよく表れています。現在の一般的な見方は、サブプライム問題については一山超えたけれども、今後徐々に影響が出てくると予想される実体経済へのダメージがどれくらいになるか不明なので、悲観的にならざるを得ないといったところです。
本書では最悪のシナリオについても書かれています。一般的に不安を解消するためのよい方法は、最悪の事態を思い描いてそれに対する覚悟を決めることなので、最悪のシナリオを知ることは大事です。
サブプライム問題については、どのように展開するかが本書にあるようにある程度予想できるという意味において、潜在的には解決しているとも言えます。しかしながら、最も恐れるべきなのは想定し得ない突発的なイベントが発生することです。
本書でとくに興味深く読めたのは、二日前にも著書を紹介した小宮一慶氏の経済指標を用いた現状と今後の米国経済と日本経済の分析です。この部分を読むだけでも本書は読む価値があります。
世界経済、金融、株式、不動産、証券化、投資、世界のマネーの流れなどを理解する上で、すべての要素を含んでいるサブプライム問題は貴重な生きた教材です。
似たような問題は形を変えて今後も生じると思いますが、本質を理解しておけば将来のことが理解しやすくなります。金融危機は歴史からも学べますが、その時代の雰囲気はその時期を実際に過ごさないと体感することができません。
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この記事へのコメント
ネガティブなイメージなモノを考えることについて日本人は一般に嫌いますが、最悪の場合をイメージしておくことで最悪から逃れる、もしくは立ち向かう手を考えられるのではないかと思います。
金融・財政のみならず、すべてにおいて。
いままでサブプライムについてはかじる程度でしたが、この本読んでみようと思います。
ネガティブなものの取り扱いについておっしゃるとおりだと思います。最悪の事態が想像できれば、不必要に怖いものはなくなります。不安は対象がはっきりしないことから生じます。
本書はいろいろな視点があって面白かったです。機会があれば、お目をお通し下さい。









