2008年08月13日

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『すべての経済はバブルに通じる』4

小幡 績著  2008年8月15日発行  798円(税込)

すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363)

著者は大学の教官をされていますが、個人投資家としても積極的にマーケットに関わっておられる方です。著者のマーケットとの日々の関わりは、ブログ『小幡績PhDの行動ファイナンス投資日記』で読むことができます。

本書では、証券化や著者オリジナルのバブルについての理論の解説と、ここ1〜2年の世界のマーケットの動きについてバブルの生成と崩壊の視点から時間を追った説明があります。



ここ1〜2年の市場の説明は、著者が日々マーケットをウォッチされているからこそ書くことができる内容ですが、日々の相場にあまり関心のない方であれば、その部分はやや読むのをつらく感じるかもしれません。

証券化の解説については、サブプライム問題を題材にして一般的な解説がされています。バブルについては、著者の造語である「リスクテイクバブル」という視点を中心に解説されています。「リスクテイクバブル」についての著者の定義は以下の通りです。

「それは、多くの投資家がリスクを求めてリスク資産に殺到し、それによりリスクがリスクでなくなり、結果的に彼らすべてが儲かることとなり、さらに他の投資家も含めてリスクへと殺到する状況を指す。」

今回のサブプライム問題を説明するために作られたような概念ですが、本質的には一般のバブルとメカニズムは同じであると思います。バブルをさらに細かく分けた下位の概念として位置づけられそうです。

また、バブルの通説についても、いくつか異議を唱えておられます。例えば、「バブルに参加している人はそのときはバブルと気づかず参加している」という認識が一般にありますが、著者によると、参加している人はバブルと気づいて参加しているとのことです。

確かにその通りです。最近はマーケットの調子がよくなってくると、マスコミでも「バブルかもしれない」といった論調が出てくるようになりました。それと同時に「バブルではない」という意見も報道されます。最近のアメリカの「不動産バブル」でもそうでした。

しかしながら、日本でバブルを意識できるようになったのは1990年前後にバブルが崩壊してからです。それまでは「バブル」という言葉は一般的ではありませんでした。時代によって認識が変わってきています。

株式投資でお金が増える理由について、ねずみ講と関連づけて解説されているのも興味深く読めました、以前このブログでも、株式会社とネットワークビジネスの関係について少しだけ記事にしたことがあります。

やはりねずみ講で終わるかどうかは、最終的に価値を創り出し続けることができるかどうかにかかっていると思います。本書にはそのあたりがより詳しく抽象的に解説されていました。

市場の働きの一つに、富の分布を変化させる機能があります。バブルの時にはっきりした形で現れ、バブルの前後は富の分布が大きく変化します。バブルの前後では大きな富が失われたように感じられるかもしれませんが、実は富が移動しているだけです。

どこからどこに移動するかというと、バブルに踊らされている人から踊らされていない人にです。バブルに踊らされない人には、バブルはチャンスですが、そのためには参加しづらいほど市場が冷え切っているときから市場に参加しておく必要があります。



investmentbooks at 21:43│Comments(2)TrackBack(0)clip!本--経済学 

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この記事へのコメント

1. Posted by yutakarlson   2008年08月17日 11:34
■生活保護不当請求の組員に中止命令 大阪府警が全国初 行政対象暴力で−サブプライム問題の本質が見える?

こんにちは。このコメントサブプライム問題とは一見何の関係も内容にみえまずか、関係あります。生活保護に関して、確かに不必要な人には支給する必要は無いと思いますので、この措置は正しいものと思います。しかし、こうした話題に触れるたびに思うのは、補助の仕方にも問題があるというものです。アメリカや、イギリスでは、「働くための補助」ということで、自立支援プログラムとともに提供されています。さらには、多くの場合自立支援プログラムは、NPOの手によって行われるのが普通です。日本では、まだまだ、このような動きはありません。このような社会問題に具体的に取り組むのはやはり、NPOだと思います。民間企業が実施するとサブプライム問題のように大火傷を負います。行政が実施すると、無駄浪費が生じます。今後このような社会問題を解消するためには、日本では有力なNPOを育てる環境を整備することが肝要だと思います。これからは、NPOの活躍が期待されます。これらが欧米並みでも動きはじめれば、日本でも経済に良い影響を及ぼすようになると思います。活発な経済は健全な社会が前提になると思います。ここには、長くコメントできませんので、詳細は是非私のブログをご覧になってください。
2. Posted by bestbook   2008年08月17日 22:25
yutakarlsonさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

サブプライム問題の影響で日本の景気が悪くなると、生活保護に割り当てられるお金が減少しやすくなるので、関係はあると思います。
生活保護の問題で難しいのは、どれくらい保護するかを評価することと、保護と労働意欲の減退とのかねあいであると思います。
中間の役割をNPOのような第三者機関が担うというのは、一つの解決方法かもしれません。

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
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