2008年08月22日
『夫婦仲がよくなるちょっとした習慣』
二松 まゆみ著 2008年7月26日発行 560円(税込)
夫婦仲がよくなるちょっとした習慣―ぜーんぶ実践可能! (中経の文庫 ふ 5-1)
本書は文庫本ですが書き下ろしです。著者は恋人・夫婦仲相談所所長の二松まゆみさんです。著者の本では、以前『抱かない男の見分け方』という本を紹介しました。
本書は結婚した女性向けに書かれた本ですが、結婚していない女性でもパートナーとのよい関係を保つために役に立ちますし、男性がよんでも参考になる点はあります。
サブタイトルに「ぜーんぶ実戦可能!」と書かれているだけあり、内容も実践方法も平易です。平易なのですが、毎日続けるにはそれなりの自覚と努力が必要です。単に相手が好きなだけではなく、自覚と努力を続けることが本当の愛なのかもしれません。
本書にちらっと書かれていますが、著者ご自身もよい夫婦生活を継続するために努力されています。しかしながら、著者でさえも苦労されているようです。
長年夫婦が仲良くやっていくのが難しいのは、人間はそのようにできていないからです。昔に比べてヒトの寿命ははるかに伸びましたが、ヒトは寿命が短いモードのプログラムしかされていません。プログラムされていないので、本書のような本を読んで意識的に工夫する必要が生じるわけです。
ヒトの寿命が30歳くらいであれば、現在あるような夫婦間の問題はほとんど存在しないことでしょう。しかしながら、現代日本のヒトはだいたい80歳まで生きなければいけません。
株価に喩えると、恋人時代は終わり頃までほぼ上昇トレンドですが、結婚後は多くの場合下降トレンドです。結婚後も上昇トレンドかあるいは高値のままボックス兼で推移することもあるかもしれませんが、意識的な努力なしには難しいでしょう。
結婚後も株価が下がらないようにする難しさは、国全体の景気が不景気なときに、ある企業が業績を継続的に上げて株価を上昇させ続ける難しさに通じるものがあります。1990年代に日経平均は下降トレンドでしたが、その時期に企業が株価を上げるのは難しかったことでしょう。
恋愛の初期から中期にかけて株価を上げることが容易なのは、国の経済成長率が高い時期にある企業の株価を上げるのが難しくないことに通じます。結婚後に夫婦仲をよくし続けることは、大きなトレンドに逆らう必要があるので、意識的に努力する必要があります。
よい夫婦関係を継続するということは、ずっと景気が悪い国において企業が毎年業績を低下させないことを継続するのと同じくらい難しいことです。難しいですが、不可能ではありません。1990年代の日本でも、日経平均が下げ続ける中、株価を上昇させ続けた企業はあります。
著者はセックスレスの問題もよく採り上げられており、本書でも部分的に話が出てきます。セックスは意識でコントロールしにくい領域の問題なので、夫婦仲を保つ以上の難しさがあります。